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» 2013年08月22日 17時42分 公開

規模と用途で考える仮想環境バックアップの勘所業務で使えるバックアップの基礎知識(3)(3/3 ページ)

[伊吹山正郁,シマンテック]
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2極化進む仮想環境のバックアップ

 このように、仮想マシンそのものをバックアップ対象の中心と考えることで、仮想環境のバックアップについて多少整理はできるでしょう。ただし、これまでは多機能なバックアップソリューションが多く提供されたことで、その中から適切な解を見つけることが困難だった反省もあってか、今では機能を絞り込んだバックアップソリューションも登場するようになりました。その結果、バックアップソリューションにも、2極化が進んでいるようです。

 1つは、仮想マシンのバックアップ取得に特化したソリューション、もう1つは、高度な機能を駆使して効率よく計画的に長期間にわたって利用するじっくり型のソリューションです。

 前者は、イメージバックアップソリューションを仮想環境に対応させたものです。個々の物理サーバに対して、イメージング技術を用いた高速バックアップという方向性を、そのまま仮想マシンのバックアップに発展させています。手軽に仮想マシンのバックアップを取得できる点がメリットです。コスト面でも、バックアップ先のストレージ装置を含めて低く抑えられます。比較的小規模な仮想環境で、仮想マシンのバックアップのみを要件とするユーザーにとっては、手軽さと値ごろ感が相まって魅力的なソリューションです。

 それに対して後者は、VMware vSphereやHyper-V向けのエージェントを利用し、さらに重複排除機能や各種アプリケーションエージェントを駆使します。ストレージの利用効率や運用効率を高めつつ、業務システムのデータをきめ細かに保護できる点がメリットです。仮想環境向けのエージェントを利用することで、仮想化ソリューションが持つ高度な機能と連携させて仮想マシンをバックアップすることに加えて、他の物理マシン(ホスト)に仮想マシンをリストアすることや、ファイルやフォルダ単位のリストア、データベースや任意のメールといった仮想マシン上で動作しているアプリケーション単位でのデータのリストアが可能です。バックアップの効率とリストアの利便性を高いレベルで保てます。仮想環境の拡大やデータ量の増加に対しても、重複排除を活用し、柔軟に対応できるソリューションが多く用意されています。後者の場合は、ストレージ装置が備えるスナップショットなどの機能と連携させるなど、複数のソリューションを複合的に利用できるものも見受けられます。

 一般的に仮想環境を導入する際は、当初小規模で始めて、その後拡大させていくことが多いことを考えると、一時的な要件に流されず、ゴールを見据えたソリューションを選択することが重要です。物理環境から仮想環境への移行に際し、一時的な要件のために中途半端な投資を強いられた後、仮想環境への移行が完了してから新たなバックアップソリューションを必要としてしまい、移行途中の投資が無駄になってしまうケースが時折見られます。そのため、もし仮想環境への移行に際し、新たなバックアップソリューションの導入を考える場合には、物理環境からの移行途中も含めて総合的に対応できるソリューションを選ぶべきです。

アプライアンスという選択肢も

 最近では、従来のソフトウェアだけで提供されるバックアップソリューションだけでなく、ハードウェアも含めたアプライアンスとして提供されるバックアップソリューションも登場しています。さまざまなコストに敏感になっている昨今、バックアップシステムの構築にかかる工数についても、無駄を省き、最適化を図る必要に迫られています。

 アプライアンスとして提供されているバックアップソリューションならば、通常必要とされるハードウェアのサイジングや、OSやソフトウェアのインストール作業を必要とせず、初期セットアップのみですぐに利用できます。そのため不要となった工数を、バックアップのスケジュール設定など、ユーザーニーズや実環境に合わせる必要のある、本来時間をかけるべき工程に使うことが可能になります。

 また、アプライアンスであれば、仮想環境の拡大に際し、台数の増加やアプライアンスの拡張といった形で対応可能である場合が多く、バックアップの統合などを考える上で、有力な選択肢となります。

 仮想環境のバックアップは、最近になってようやく解決策の糸口が見えてきた感があります。仮想環境の規模やニーズに合わせて、それぞれに適したソリューションが提供されるようになり、大規模な環境であっても、高速なバックアップ機能を有するソリューションや、ストレージ機能との連携など、現実的な対応策を打つことも可能になりました。また、アプライアンスという新しい選択肢も提供されるようになり、じっくりと腰を据えて環境に適したソリューションを選択できるようになりそうです。

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