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» 2013年08月22日 17時42分 公開

規模と用途で考える仮想環境バックアップの勘所業務で使えるバックアップの基礎知識(3)(2/3 ページ)

[伊吹山正郁,シマンテック]

仮想環境のバックアップで克服すべき課題

 仮想環境のバックアップに際して、実際に問題となっている点はどういったものがあるのでしょうか。シマンテックが中堅中小企業のIT担当者600名を対象として、2012年7月にアンケートを取った結果が次のグラフです。

出典:シマンテックによる中堅中小企業IT担当者600名への意識実態調査(2012年7月9日〜7月29日実施)〜仮想化環境のバックアップでは何が課題となるのか

 このグラフから明確に分かるのは、特定の課題が突出しているのではなく、さまざまな問題が渦巻いていることです。これらの課題を克服できる非常に高機能なバックアップソリューションが求められています。

 その半面、バックアップを取得する対象は物理環境と比べて大差ありません。下のグラフは、バックアップしたい対象の比率です。物理環境での運用時にはなかったような、仮想マシンそのもののバックアップという項目があるものの、仮想マシン上のデータは引き続き重要視されます。物理環境が混在する場合には、それらのバックアップも挙げられています。

出典:シマンテックによる中堅中小企業IT担当者600名への意識実態調査(2012年7月9日〜7月29日実施)〜仮想化環境のバックアップでは何が課題となるのか

 このように、仮想環境のバックアップを考えるときには、仮想マシンがバックアップ対象の中心としてとらえられます。運用している仮想環境の規模が大きければ大きいほど、そのデータ量の多さや重要性から、高度で複雑なソリューションが必要であるかのように錯覚してしまいがちです。しかし、バックアップ対象さえ明確に定義できれば、あとはデータ量が増えやすいことに加え、素早くリストアする必要があるなど、仮想環境固有の課題を解決できるソリューションを選択することで、解決の糸口をつかむことができるはずです。

仮想環境バックアップの課題を克服するために

 仮想環境のバックアップに対しては、前述のグラフの通り、特に突出した課題は現れておらず、さまざまな課題に並行して対応する必要があります。ただし、いくつかの主要な課題に対しては、以下のような対応指針が考えられます。

人的負荷を軽減するには

 操作性や管理性に優れたソリューションを選定する必要があります。複数のソリューションを利用する場合には、それぞれのソリューションの操作や管理が容易であることが重要になります。ただし、必要な機能が備わっていなければなりません。

バックアップ対象を把握しやすくするには

 仮想環境ではバックアップ対象が多岐にわたることが多く、バックアップ対象を把握しにくくなる傾向があります。これは、仮想環境の規模にもよるため解決が難しい場合もあるのですが、ある程度メリハリをつけることが肝心です。バックアップ対象を重要度に応じて分類し、例えば週に1回仮想マシンをまるごとバックアップするといったように、バックアップの粒度と頻度を調整することで、解決可能です。重要度によっては、特定の物理マシン上で稼働する仮想マシンはまとめて特定の日にバックアップするといったように決めてしまうのも良いでしょう。

データ量の増加に対応するには

 バックアップ対象とするデータ量の増加は、バックアップに掛かる時間とバックアップデータ量の両方の増加に直結するため、重要な課題です。昨今では、データ量の増加に対処するには、重複排除が用いられます。さらに、重複排除の利用を考える前に、バックアップ対象を見直すことも効果的です。どれをどの程度の頻度でバックアップする必要があるのかを再考することで、バックアップに関連する負荷を調整可能です。

バックアップ時間を短縮するには

 これは、データ量増加への対応とほぼ同じになるでしょう。ただし、バックアップ時間の不足に悩むケースは多く見受けられます。つまり逆説的に、初期導入時から余裕のあるバックアップ計画を設計することが求められていると言えます。

 長期的な視点で見た場合、10ギガビットイーサネット(10GbE)によってネットワークを構築するなど、インフラへの投資が好ましい場合もあります。拡張性に富んだソリューションであれば、バックアップ対象データ量の増加に応じて、バックアップサーバを増設し、バックアップ処理を並列化することで対応が可能です。1台のバックアップサーバで10時間掛かっていたバックアップも、2台のバックアップサーバを同時に利用できれば、半分の5時間で終わります。なお、バックアップサーバの増設時には運用負荷が増えるため、あらかじめ運用担当者への負荷が低いソリューションを選択しておくことが重要になります。

 このように今では、仮想環境のバックアップであっても、その課題に対する解決の糸口は見えてきています。しかしながら全ての要求を満たすソリューションを選定するには、事前の調査や、想定される運用設計の策定、利用すべき各種機器の選定など、事前にさまざまな作業を要します。そのため、課題に正面から取り組むだけでなく、ある程度割り切ってしまうケースもあります。

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