F5ネットワークスジャパンは、ADC製品のエントリーモデル「BIG-IP 800」を販売すると発表した。日本市場専用に開発したBIG-IP 800で、価格を138万円と低く抑えることで、トラフィックが比較的少なく価格が重視される市場に乗り出す。
F5ネットワークスジャパンは2013年8月29日、ADC(Application Delivery Controller)製品のエントリーモデル「BIG-IP 800」を同年9月に販売開始すると発表した。ADC製品は、Webサーバのロードバランシングやセキュリティ対策、クライアントからのアクセスの高速化を担う、いわゆるレイヤ4-7(L4-7)スイッチである。
同社によると、日本のADC製品市場は、信頼性や処理性能を重視し、比較的通信トラフィック規模の大きな用途のセグメントと、トラフィックが比較的少なく価格(100万〜250万円程度)が重視されるセグメントに2分されているという。これまで同社は、前者のセグメントに向けた製品を展開してきており、後者のセグメントに属する顧客には主に価格面で敬遠されていたという。
そこで、価格を138万円と低く抑えたBIG-IP 800を日本市場専用に開発し、価格が重視される市場に乗り出す。これによって「2015年までに日本のADC製品市場でのシェア50%を目指す」(同社の代表取締役社長を務めるアリイ ヒロシ氏)。
BIG-IP 800は、既存の同社製品とは別のラインアップとなるものの、OSは同じ「TMOS」で、機能や操作性は同等である。加えてTMOSは、v11.4にバージョンアップされ、自動化機能「iCall」と、仮想ネットワークへの対応機能「VTEP」などを新たに備えた。
iCallは、BIG-IPの設定を、TCLで記述したスクリプトをあらかじめ用意しておくことによって自動的に変更する機能である。例えば、負荷に応じてWebサーバの稼働台数を動的に変更する場合。従来は、Webサーバを追加したときに、管理者がそのWebサーバに割り当てられたIPアドレスを確認し、BIG-IPにそのIPアドレスを追加設定する作業を担っていた。これを自動化できる。一方のVTEPは、米VMwareが提供する仮想ネットワーク「VXLAN」のゲートウェイ機能である。
BIG-IP 800の主な仕様は以下の通り。レイヤ4のスループットは1Gbps。HTTP処理は最大17万5000レスポンス/秒。SSL処理(鍵長2048ビット時)は標準500トランザクション/秒。レイヤ4コネクションは6万コネクション/秒である。
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