山口県山口市で、西日本初のMaker Faireが開かれ、日本全国から100組を超えるMakerたちが集まった。
Maker Faireは、ものづくりに携わる個人、組織、企業など、さまざまな「作り手」の発表と交流が行われる祭典だ。2006年に米国でスタートして以来、最近では日本でも人気が高まってきており、2012年12月のMaker Faire Tokyo 2012では1万人近い来場者を集めている。
8月9、10日の2日間には、西日本で初めてのMaker Faireとなる「Yamaguchi Mini Maker Faire」が山口県山口市で開かれた。2012年の岐阜県大垣市に続いて、東京以外の開催としては2カ所目になる。
同市には、今回のMaker Faireの会場にもなったメディアアートの拠点、山口情報芸術センター(YCAM)があり、地元にはアートに携わる人たちが多く活動している。
今回のMini Maker Faireでは、地元である山口を中心に、九州や中国地方などから100組を超える出展者が集まった。400組を超える出展者を集める東京のMaker Faireに比べると規模は小さいが、これまでMaker Faireに出展したことのない人々が集まり、新しい出展物が会場にあふれていた。
中でも注目を集めていたのが、京都からの出展者である西脇畳敷物店の店主、西脇一博さん。畳ギター、畳ベース、畳ウクレレ、畳カホン、畳ハーモニカ、畳大正琴など、畳製の楽器を次々に制作している。また、「住まいの洋風化で畳の需要がどんどん減っている状況をなんとかしよう!」という想いで畳PR楽団「日本畳楽器製造」を結成し、畳をテーマにした楽曲を演奏する畳バンドを率いて畳のPR活動を行っている。
自分たちをコンテンツ化するためにMakeする活動はとても効果的で、会場で行われたライブでは立ち見が出るほどの人気だった。
畳バンドのライブでは、「畳の吸音効果はね、フローリングの約2倍!」など、畳のPRが随所に織り込まれた楽曲を演奏するだけでなく、ライブ中に畳の効果を宣伝する紙芝居や畳に関するクイズまで飛び出し、全力で畳をアピールした。
ライブ以外にも、自分たちの行っている畳のPR活動全般を紹介するプレゼンや、会場を訪れたお客さんとともにミニ畳を作るワークショップを開催するなど、2日間に渡って精力的に活動し、多くの来場者に注目されていた。
畳ギターを制作する出展者がいれば、箒(ほうき)をギターに改造する出展者もいる。「箒ギター」を展示していた「ねや楽器さん」は九州からの出展。箒に圧電素子(振動センサ)を備え付け、箒の棒に音階を表示するスイッチを接続した作品だ。この振動センサの調整が絶妙で、複数の毛先を持って1本ずつ離していくアルペジオ奏法や、ボタンを強く叩いて音を出すタッピング奏法ができる箒ギター。ポータブルアンプを腰に付け、会場を練り歩いていた。
子どもたちの注目を集めつつ、気味悪がられていたのが九州の阿蘇から来た、阿蘇カラクリ研究所のロボットたち。テレビ番組の「ナニコレ珍百景」でも取り上げられたという。
同研究所の本業は、機械の設計と制作とのこと。奇妙に見えるロボットたちも、素晴らしくスムーズな動きを見せていた。
時報のたびに郷ひろみのアクションをする時報ロボ「ボブ」や、酒のグラスを手に持ち、前後運動で酒をひたすら混ぜるロボット、テレビとともに血まみれの手が飛び出てくる「超本格的な3Dテレビ」など、気味悪くもユーモラスなロボットたちを展示していた。
阿蘇カラクリ研究所では6年前からロボットたちの制作を開始。代表の福山さんはロボットの制作だけでなく、動画の作成や文章のライティングなども引き受けている。多才な福山さんらしく、どのロボットに関してもキャッチーな説明用の動画を制作。ロボットの動き、デザイン、キャッチコピー、音、宣伝動画など、制作から宣伝まで多岐にわたるMake活動で注目を集めていた。
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