富士通は運用自動化製品として「Systemwalker Runbook Automation V15」を用意している。2012年5月に発表したプライベートクラウド環境構築を支援する製品群「プライベートクラウドミドルウェア V15.1」シリーズの1つであり、2010年から提供してきたSystemwalker Runbook Automationの最新版となる。
同製品も運用管理スタッフが運用手順書を見ながら行っていた作業を自動化することで、運用コスト削減、運用品質向上を支援する。OSやミドルウェアに対する操作だけではなく、人による確認・判断も含めた運用管理ステップも定義、自動化することで、効率的に運用管理の標準化を狙える。
特徴は2つ。1つは自動化する運用プロセスの簡単・確実な実装だ。専用のGUIツール「自動運用プロセス開発画面」上で、人の作業とITシステムの操作をまとめた一連の手順をシンプルに定義できる。「仮想サーバを起動」「関係者にメールを送信」といった「運用操作部品」が用意されており、ユーザーはカテゴリ別に整理された部品の中から必要なものを選んでドラッグ&ドロップ操作で画面上に配置、線でつなげていくだけで運用プロセスを定義できる。
これにより、例えば仮想サーバのプロビジョニングなど、「複数のツールを使って複数のステップを踏む作業」も自動化できる点がポイントだ。「運用操作部品」については、扱いやすさに配慮した大きめの粒度の部品を用意しているが、ニーズに応じて必要な部品を開発することも可能だという。
富士通の大きな特徴は、運用自動化機能と、システム構成/稼働情報の可視化機能の連携を実現している点だ。具体的には、自動運用する物理/仮想サーバ、OS、ミドルウェアなどの情報を、構成管理データベース(以下、CMDB)で一元管理。Systemwalker Runbook Automation がCMDBで現在のシステム構成を参照しながら、自動運用プロセスを実行する。一方、仮想サーバに割り当てるリソース容量など、人が行う判断や承認作業については、担当者にメールを自動送信し、管理画面上での判断・承認を促す。これにより、ビジネスの状況に応じて仮想サーバの台数が増減するなど、システム構成が変化する仮想環境でも、IT資産とガバナンスを確実に担保しながら自動運用が行える仕組みだ。
一方、ジョブスケジューラとしては「Systemwalker Operation Manager」を用意している。設定したタイムスケジュールに沿って、サーバ電源の投入/切断やファイル転送、バッチジョブのキュー管理などのルーティンを自動化する。
ジョブネットの設定も効率化している。具体的には、Microsoft Excelベースの専用管理ツール「Job Designer」を用意。Job Designerの入力シートに各ジョブの内容、処理順序などを入力して「ジョブフロー生成ボタン」を押せば、管理画面上にジョブネットフローがビジュアルに表現される。これにより、大量のジョブネットもより効率的かつ確実に定義、管理できるという。スケジューリングした業務の稼働状況や実行結果はリアムタイムで監視でき、「正常終了」「実行中」「停止中」など、複数サーバにおける業務の進捗状況を1画面で一元管理することができる。
複数のツールを組み合わせた、より高度な自動化も可能だ。例えばSystemwalker Runbook Automationと、Systemwalker Operation Managerを、システムの稼働状態を監視する統合管理製品「Systemwalker Centric Manager」や、キャパシティー管理製品「Systemwalker Service Quality Coordinator」と連携させることで、「サーバ追加に合わせて負荷分散対象サーバを動的に追加し、バッチジョブの処理性能向上を図る」「サーバが故障した際に代替サーバに自動的に切り変える」といったことも行える。
サーバ仮想化が浸透した現在、システム構成の複雑化、運用管理の煩雑化が課題となっている例が多い。その点、運用自動化は作業のスピードを高めるだけではなく、複雑化したインフラ構成を適切・確実に管理可能とすることで、真に無駄のない、統制の取れた運用管理を実現する点が注目される。
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