Java開発者の年次カンファレンス、JavaOne 2013のコミュニティキーノートの模様を中心に、さまざまな話題をお伝えする。Java SEが標準バンドルとなったRaspberry Piディストリビューションや“MTaaS(Monster Truck as a Service)”、Javaで動かすレゴマインドストーム、10歳の驚愕Javaハッカーなどが注目だ。そして今年も、最後にあの人がやって来た!
JavaOne 2013まとめレポート、前編「『俺たちのJavaは、まだまだこれからだ』未来の鍵はInternet of Thingsにあり?」、中編「ついにJavaがRaspberry Piとフラットデザインでタブレット市場に参入!?」と、JavaOneの基調講演やテクニカルセッションの模様をお届けしてきたが、今回は最後にコミュニティキーノートの模様を中心にお届けする。
JavaOne最終日の朝は例年基調講演で始まる。今年最終日の基調講演の冒頭を飾ったのはスポンサーである米フリースケール・セミコンダクタの講演、それからコミュニティキーノートへと続いた。
キーノートに登場したのは米フリースケール・セミコンダクタのVice President、Geoff Lees氏だ。フリースケール・セミコンダクタという社名になじみのない方も多いかもしれないが、かつてMacintoshに採用され、今は組み込み用途に広く使われているPowerPCを開発・供給している会社といえば分かりやすいだろう。
Lees氏は、「昨年『M2M(Machine to Machine)』といわれていたコンセプトが今年は『IoT(Internet of Things)』と呼ばれ方は変わっているものの、インテリジェントでインターネットに接続するデバイスが今後増えていくのは確実であり、そして主役はあくまでハードウェアではなくソフトウェアにある」と説いた。すでに組み込み機器の開発に当たる技術者のうちソフトウェア技術者は60%ほどになっており、その数字は来年には70%に達する見込みとのことだ。
またLees氏は「ハードウェアがコモディティ化していく中で差別化を図るにはソフトウェアが鍵になっているが、組み込み向け技術者の多くはC/C++技術者で、インターネット接続やセキュリティを容易に扱えるJava技術者が組み込みの世界でも一層重要になってくるだろう」と予測した。
次に、同社が掲げる家庭向けヘルスケアプラットフォームである「Home Health Hub(H3)」を紹介した。H3は最近流行の兆しを見せているインターネット接続するヘルスメーターや活動計を一歩進めたコンセプトだ。
H3を活用すれば、例えば心拍数や血圧などを定期的に測定してクラウドに集めておき、クリニックに行った際は、すでに体のコンディションを表す各種メトリクスの履歴が閲覧可能になっているという。
常時測定デバイスを付けておきたいと感じる人は多くないかもしれないが、医療機関や保険会社から「診察時すでにデータがそこにある状態」「その場限りの測定値ではなく履歴を確認した上の治療」が望ましいとの要望が強いそうだ。
Javaはオラクルがサン・マイクロシステムズを買収する以前も教育分野と並んで医療分野での活用を推進していたが、IoTのコンセプトでようやく実現が近づいてきているのかもしれない。
また、昨年のJavaOneで挙がったNike+ FuelbandのバックエンドにはJavaが活用されており、Fuelbandに似た活動計であるFitbitはJavaのSDKをリリースしいる。すでに、IoTはヘルスケア分野でJavaが一部活躍しているともいえる。
ロードマップやプロジェクトなどについて大きなアナウンスがなく、やや寂しいJavaOneであったが、コミュニティキーノートでは教育分野やオープンソースの分野におけるJavaの活躍が依然目覚ましいことを印象付けた。
コミュニティキーノートの冒頭を飾ったのはJavaプラットフォームのディレクター、Donald Smith氏と@javaことTori Wieldt氏だ。おととしと昨年のコミュニティキーノートについて、「2011年にはJava7のリリースを果たして(オラクルによるサン・マイクロシステムズ買収後の)Javaエコシステムの再始動、そして2012年にはクラウド、ビッグデータやオープンソースなど注目の領域への進出を果たした」と振り返った。
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