450以上の応募作品の中から最終プレゼンに残った12作品を紹介する。最優秀賞は誰の手に? おばかアプリ賞を勝ち取ったAndroidアプリの開発秘話の独占インタビューも。
2013年11月12日、第9回となる「Mashup Awards 9」(以下、MA9)が渋谷で開催された。MA9は8月30日より全国で予選が行われ、総計460作品の応募があったという。その中から12作品が最終決戦である「Mashup Battle」に残り、最優秀賞、優秀賞、および部門賞が選考された。その様子をレポートする。
早速、最終選考まで残った作品を紹介しよう。真面目なもの、おばかなもの、ソフトウェア、ハードウェア、有用、無用とバラエティに富んだ12作品がズラリとそろい、作成者らはわずか5分ずつではあるがプレゼンテーションを行った。
プレゼンテーションの1番目は来栖川電算 teamRの「毎朝体操」。アプリを起動し、スマートフォンを握って「ラジオ体操」するというもので、そのモーションからラジオ体操のどの部分を行っているかを判断し、数値化して採点する。そのモーションはアニメ化されて、SNSで共有することも可能というものだ。そのレポートは世界で共有化されており、すでに世界15カ国で利用されていることが分かっている。
プレゼンの最後では実際にラジオ体操のデモも行われた。「ラジオ体操第二」にも対応しているとのこと。
Quiz Driveはドライブを楽しくするためのアプリ/ハードウェアで、ドライブを盛り上げる目的で作られた。特定の条件が重なると、音声合成でクイズが出題される。
出題されるのは、走っている場所の近くにあるランドマークを基にした「ご当地クイズ」と、ノロノロ運転のときなどに、渋滞情報とアクセルやタコメーターなど50種類以上の自動車センサ情報を基にして出題される「状態検知クイズ」の2つ。「また行こうね」と思える楽しいドライブを演出したいとのことだった。
身の回りにあふれる音に注目し、「いつもだったら気付かないような、身近にあるさまざまな音に触れよう」をコンセプトに、流れる音を推理するというゲーム。問題となる「音」は、ユーザー自身が面白いと思った音を録音して作成。これをFacebookで共有、出題できる。
テキストと映像が中心だったネットの世界に対し、音で新しい世界を作りたいという思いから作られたアプリ。
Tempescopeは「空の箱庭」を目指したハードウェアで、雨や曇り、稲光などの天気を小さなキューブ内で再現することを目指している。これは作者がサイパンの変化に富む空を見たときに持ち帰りたいと思い立ったことからスタートし、誰かの空、明日の空、いつかの空を再現したいとの思いから作られたという。
このハードウェア自体も含め、オープンソースとして設計図などを公開しており、開発者を募集しているとのことだ。
世界でもトップクラスのバス路線が多い町、福岡でバスを探したいというニーズから生まれたアプリ。バス停留所名やマップから、現在のバスの位置などを表示できる。
バスの停留所情報は国土交通省が提供する位置情報を利用している。この情報は2年ほど前のデータであるため、もし位置がおかしい場合は利用者から報告してもらうような機能が入っている。
加速度センサなどを使った、体感型RPGアプリ。スマートフォンを振ることで相手を攻撃したり、回避したりすることができる。体全体を使って戦闘をすることで「猫背で画面を見つめ、指だけで操作するスマートフォンゲームのイメージ」を崩したいとのことだ。
食べたものを入力することで、Web APIからカロリーを算出し、そのカロリーがヒットポイントの敵と戦う「カロリーAPIダンジョン」の実装も行われている。画面に何も表示されず、暗闇で戦うという「心眼モード」も開発中とのことだ。そのため、「このゲームで視力低下は起き得ない」という。
ラテン語で「きずな」を意味するvinclu(ウィンクル)は、離れて暮らさなくてはならない人たちに向けて、2人を「つなぐ」ためのペアグッズを目指し作られている。スマートフォンに接続するデバイスで、相手の方向にぴったり向けられた時にデバイスが光る。
デバイスはGPS/方位角度センサで相手の位置情報と方向を検知する。スマートフォン版だけでなく、鳥の形をあしらった作成者独自の専用デバイスも用意しており、数千キロメートル離れた場合でも反応するという。
Grasphyは英語のコンテンツを、機械翻訳とは異なるアプローチで解釈し、学習するためのツールだ。英文テキスト、もしくは英語のWebサイトURLを入力することで、英文構造を解析し、あたかもプログラミング言語のようにインデントし、かっこ書きで表示してくれる。
Grasphyでは、あえて構造解析だけでとどめ、そこから先の英単語翻訳などはある程度利用者にゆだねる仕組みになっているため、英語教育にも向いているという。今後は英語だけではなく、ドイツ語や中国語にも対応していく予定だ。
1Click飲みは「飲みたいから、乾杯までの時間と手順を極限まで減らす」ことを目的に開発されたアプリ。飲みたいと思ったら人数を入力するだけで、自動的に近隣の居酒屋などを場所や評判から絞り込み、合成音声で電話をかける「Twilio」のAPIで自動的に予約を入れる、というものだ。電話という古いデバイスと、新しい技術をマッシュアップしている。
現在「デバッグ飲み」と称して、不具合がないかを確かめるためにアプリで飲み会の予約、実施をしているとのことだ。
ANNAI Callは、海外からの問い合わせ電話に対し、専用のオペレータを用意することなく、対応可能な人をマッチングしてアサインする、クラウドソーシング的なコールセンターサービスだ。
こちらもTwilioを使ったシステムで、海外からの電話問い合わせを受け付けた後、いったん切断し、内容から対応可能者をマッチングしてコールバックする仕組みを採る。幅広い言語に対応可能で、受付に専任のオペレータを置けない旅館などでの利用を想定している。
Mashup VisionはiPhoneをヘッドマウントディスプレイのように装着し、音声を使って操作することで相手の顔からFacebook検索を使って情報を引き出したり、英語翻訳などを行えたりする拡張現実ツールだ。マップを見る、天気を見るなどのモードも搭載されている。
プレゼンではデモが行われ、カメラに写る顔から氏名を取り出したり、Siriを使った問い合わせを行ったりする操作が披露された。
最後はTechCrunch部門賞作品で、当日まで行われていたハッカソンによる成果が発表された。このFuwariは友人が聴いている曲を基に、相手の気分を色や文字で識別したり、同じ気分の曲を聴いている人を見つけたりすることができる。
気になる友人のムードを把握したり、近いムードの人と「ふんわりと」気分を共有し、コミュニケーションを取ったりすることを目指している。
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