パナソニックグループはいかにして分散する基幹DBを集約したか【後編】基幹業務システムのDB統合は可能か(2)(2/4 ページ)

» 2014年05月23日 19時58分 公開
[野本幹彦,@IT]

 アプリケーション/DBを一人のシステム担当に併せて割り当てている場合、よくあるのが、メンテナンスプロセスや各種ツール類が属人的な実装になってしまうことだ。このため、DBaaSに限らず、システムの共通化・標準化を推進する際に、大きな反発を受けることも少なくない。

 パナソニックISの場合は、インフラ運用担当者が中心となってDBaaS環境の構築を提案しているが、アプリケーション側の担当者の抵抗はなかったのだろうか?

 「今回の統合DB基盤構築の直接のきっかけとなったのは、ホスト並みの大規模システムがリース切れとなり、次の基盤を考える必要がある中で、運用やスキルも集約して運用負荷を下げようというものでした。そのシステムのDBを運用していた事業部門も、将来的にはDBの運用までは手に負えないと考えており、お互いにメリットが生まれるように統合・集約を進めていくことができました」(片岡氏)

 とはいえ、やはり個別のシステムにおける独自実装の問題は皆無ではなかったようだ。

 「統合前は、1つのサーバーにDBやアプリケーションなどの全てが入ってしまっていて、開発担当者が好みのShell環境やそれを前提としたスクリプトを作成しているなど、個人色の強いサーバーが乱立している状態でした」(片岡氏)

 「運用を効率化するためにも標準化を行い、それにのっとって構築して、内部統制のためにも個別運用はやめるということを説得していきましたね。実際のところ、業務運用部門がDBサーバーを運用することは彼らも望んでおらず、お客さまの要望を聞いてシステムに落とし込むという本来の仕事に集中したいと考えていたはずなので、われわれにDBを任せてくれれば楽になると説明していきました。R&Dの技術力が高くなければ、親会社がわれわれを採用する理由がないということは常々社内で話されていることで、本来どうあるべきか、というディスカッションをしやすい土壌はあったため、繰り返し啓蒙していくことで理解してもらえたと思います」(片岡氏)。

 2013年1月にカットオーバーされたパナソニックISの統合DB基盤は、従来8つの異なるデータベースサーバーで運用されていたものを、Exadata(本番用、開発用各1台ずつ)に分け、文字コードと要件ごとに、UTF-8、オンライントランザクション系Shift-JIS、DWH系Shift-JISの3つのデータ領域に集約している。開発環境用のマシンは、スタンバイ用としても稼働しており、本番機とデータを同期させて冗長化、さらに、外部のNAS領域にバックアップするようにしている。

 「やはり文字コードの問題はひと筋縄ではいきません。まずは、用途・文字コードごとに分類し、8つのDBを3つに集約するところから着手しています」(片岡氏)

DBはいずれもOracle Database 11gである。2013年にリリースされたOracle Database 12c環境は、これに加え、マルチテナンシにも対応しており、スキーマ統合のような煩雑な工程なしで、物理的にDBサーバーを統合できる。

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