Googleドキュメントの互換性を検証〜 どこまでMicrosoft Officeの代わりとして使えるのか? 〜特集(3/3 ページ)

» 2014年05月28日 00時00分 公開
[嘉城郷,]
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GoogleドキュメントはMicrosoft Officeの代わりとなり得るのか?

 最後のこれまでのインポート/エクスポートのそれぞれの検証結果を一覧でまとめる。

  インポート
(Excel → スプレッドシート)
エクスポート
(スプレッドシート → Excel)
フォント
Googleスプレッドシートで取り扱えないフォントも含め、問題なく変換される

Googleスプレッドシートが標準で取り扱うことのできる全てのフォントが問題なく変換される
セルの統合
正常に変換される

正常に変換される
セルの色付け
正常に変換される

正常に変換される
セルの枠線
正常に変換される

統合されたセルの一部で枠線が欠如した
セルの入力規制
正常に変換される

正常に変換される
画像
やや形状が変わる可能性があるが変換はされる

形状、位置ともに問題なく変換される
図形
形状、位置ともに問題なく変換される

形状、位置ともに問題なく変換される
SmartArt ×
変換時にデータが失われる

該当機能なし
グラフ
3Dグラフが2D化されるなどGoogleドキュメントの機能範囲内に制限されるものの変換自体は問題なくされる

形状、位置、色合いともに問題なく変換される
フィルタ
正常に変換される

正常に変換される
ピボットテーブル ×
簡易的なものは変換できるが精度は高くないため実用レベルとは言えない

データの変換は正常にされるものの、フィールドの順序が変わってしまうなどの課題もある
条件付き書式 ×
変換されない
×
変換されない
コメント
正常に変換される

データは正常に変換されるものの、状況によってはコメントの位置がずれる現象が発生した
関数
正常に変換される

正常に変換される
マクロ(スクリプト) ×
変換されない
×
変換されない
ExcelとGoogleスプレッドシートの互換性検証結果

 ここまでExcelとGoogleドキュメントのスプレッドシートの互換性を検証してきたが、WordやPowerPoint、Google文書やプレゼンテーションなども基本的に同等の傾向が見られた。結果については、下表にまとめたので参考にしていただきたい。

  インポート
(Word →文書)
エクスポート
(文書 → Word)
フォント
正常に変換されるものと、異なるフォントに変換されるものが混在する

Googleドキュメントが標準で取り扱うことのできる全てのフォントが問題なく変換される
書式
正常に変換される

正常に変換される
ルビ(ふりがな) ×
変換時にデータが失われる

該当機能なし
ヘッダー
正常に変換される

正常に変換される
フッター
正常に変換される

正常に変換される
ページ番号
正常に変換される

正常に変換される
表の挿入
変換されるが、セル統合は反映されない

正常に変換される
画像
正常に変換される

正常に変換される
図形
正常に変換される

正常に変換される
WordArt
シンプルな画像に変換される

該当機能なし
段組み ×
変換されない

該当機能なし
縦書き ×
横書きに戻ってしまう

該当機能なし
変更履歴 ×
変換されない

該当機能なし
コメント
正常に変換される

正常に変換される
マクロ(スクリプト) ×
変換されない
×
変換されない
コメント
正常に変換される

正常に変換される
校正履歴 ×
変換されない

該当機能なし
WordとGoogle文書の互換性検証結果

  インポート
(PowerPoint→プレゼンテーション)
エクスポート
(プレゼンテーション →PowerPoint)
フォント ×
全てArialに変換される

Googleドキュメントが標準で取り扱うことのできる全てのフォントが問題なく変換される
スライドマスター
正常に変換される

正常に変換される
フッター
正常に変換される

正常に変換される
スライド番号 ×
変換時にデータが失われる

該当機能なし
表の挿入
正常に変換される

正常に変換される
画像
正常に変換される

正常に変換される
図形
正常に変換される

正常に変換される
WordArt
正常に変換される

正常に変換される
SmartArt
正常に変換される

該当機能なし
アニメーション
プレゼンテーションが搭載しているアニメーションはそのまま表現され、搭載しないアニメーションは「フェードイン」に変換される

正常に変換される
画面切り替え
正常に変換される

正常に変換される
ノート
正常に変換される

正常に変換される
コメント
正常に変換される

変換されるものの、データが欠如する
マクロ(スクリプト) ×
変換されない

該当機能なし
PowerPointとGoogleプレゼンテーションの互換性検証結果

 検証結果からは、Microsoft OfficeとGoogleドキュメントの間でファイルを変換する場合には、以下の点に気を付けることで変換精度による問題を最小限に留めることができると考えられる。

  • Googleドキュメントで取り扱い可能なフォントを利用する限りは問題無いと言える。
  • 「ピボットテーブル」や「条件付き書式」など高度な分析機能については互換性精度に問題があるので、双方向で変換する場合は避けた方がよい。
  • 「SmartArt」「WordArt」などの文字装飾機能については互換性に問題があるので利用を避けた方がよい。
  • 「表」「グラフ」「関数」については高い互換性を持っているため、一般的な使い方をしている限りは問題無い。
  • 「マクロ」については変換できないため、Googleドキュメントでも自動処理を組み込みたい場合は作り直しが必要となる。

コラム

 Microsoft Officeとの高い互換性を持つ機能として、GoogleはAndroid、iOS向けにQuickofficeを無償で提供している。また、Chrome OSが搭載されるChromebookやChromeboxにはQuickoffice機能が標準で搭載されているため、高い互換性を維持したまま、Micorosoft Officeがない環境でもWord、Excel、PowerPointのファイルを閲覧、編集することができる。

Chrome OSに標準搭載されているQuickoffice Chrome OSに標準搭載されているQuickoffice
Chrome OSにはWord、Excel、PowerPointのファイルをそのまま閲覧、編集するためのQuickofficeという機能が標準搭載されている。


 本稿では、Microsoft OfficeとGoogleドキュメントの互換性について、実検証を元に解説した。2014年4月8日(米国時間)にMicrosoft Office 2003は長きに渡る現役を終え、多くのユーザーがMicrosoft Office 2010/2013やGoogleドキュメントなど他の同等製品への移行を余儀なくされている。現時点でMicrosoft OfficeとGoogleドキュメントの双方向での互換性は完全とは言えないが、GoogleドキュメントからMicrosoft Officeへの変換はそれほど問題なく使える可能性がある。

 これまでの進化と同様に、Googleドキュメントの互換性の精度は今後も徐々に高まることが予測されるため、無償または非常に安価(Google Apps for Businessの場合、1アカウント当たり月500円程度)に利用可能なビジネス文書作成機能には今後も期待したい。

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