いまさら聞けないバックアップ、失敗と成功の分かれ道とは@ITバックアップセミナー直前インタビュー

2014年6月25日、@IT編集部では主催セミナー「誰も教えてくれなかったバックアップの極意」を開催する。その基調講演に登壇するニュートン・コンサルティング 代表取締役社長の副島一也氏に、多くの企業が陥っているバックアップ最大の課題と成功の鉄則を聞いた。

» 2014年06月18日 18時00分 公開
[編集部,@IT]

6月25日、@IT編集部主催セミナー「バックアップの極意」を開催!

 バックアップは事業継続に欠かせない重要な取り組みだ。だが、重要性は認識されているものの、勘所が分からないという声は多い。実際、東日本大震災ではバックアップがうまく機能しないことが多く、普段からのバックアップの取り組みにあらためて目が向けられるようになった。これを受けて、@ITでは2014年6月25日に「誰も教えてくれなかった『バックアップの極意』」を開催した。

 編集部ではセミナーに先立ち、基調講演「"とりあえずのバックアップ"からの脱却――ここでしか聞けないデータバックアップ戦略」に登壇するニュートン・コンサルティング 代表取締役社長の副島一也氏にインタビューを行った。その模様をお届けする。

そのバックアップとツール、いったい何のため?

 「バックアップを取ることが目的化してしまっているケースは少なくありません。そうしたケースでは、いざというときにバックアップを戻すことができず、業務の継続が困難になることがあります。業務にひも付いたバックアップ体制を築くことが必要です」

 副島氏はバックアップをめぐる課題をそう語る。バックアップの重要性は理解されており、二重、三重にバックアップが取得されている。だが、それらをきちんとリストアして、「事業が本当に継続できるかどうか」まで、定期的に確認しているケースは必ずしも多くはないという。

ALT ニュートン・コンサルティング 代表取締役社長の副島一也氏

 副島氏は日本IBMの法人向けソリューション営業を経て、1998年、英国で災害対策や危機管理、事業継続マネジメントなどを行うコンサルティング会社、NEWTON ITの設立に参画した人物だ。その代表取締役として2005年のロンドン同時多発テロや、バンスフィールド爆発事故からのBCP発動を経験した。2006年には日本でニュートン・コンサルティングを設立し、多くの企業のBCMS構築を支援。東日本大震災でも多くの企業の対応を支援した実績を持つ。

 そうした経験に照らした上で、副島氏は「バックアップ最大の問題は、バックアップの取り組みを進める中で、いつしか本来の目的を見失いがちなこと」と指摘する。

 ではなぜ、ビジネスにひも付いた本来の目的が失われ、バックアップを取ること自体が目的化してしまうのだろうか?

 「1つは、経営からの要件がはっきりしていないことが挙げられます。経営から『何が起こるか分からないから、全てのデータのバックアップを取ってほしい』と言われた経験を持つIT部門は少なくないでしょう。これでは『何のために、どこまでバックアップするのか』を判断することは難しくなります」

 また、「組織が業務ごとに縦割りになっており、誰が責任者か分からない」という点も課題だという。システム1つを取ってみても、アプリチーム、インフラチーム、ネットワークチームなどがあり、さらにそのチームは、子会社や社外パートナーのスタッフが混在している、といった例も多い。こうした環境では、関係者が連携して問題原因を究明することが難しく、万一の際、「早期に復旧するにはどんな手順を踏めばいいのか」を決めることも難しくなる。

 そこでポイントになるのが、先の「業務とバックアップのひも付け」だという。これは各種ビジネスのインパクトを分析・評価し、それをITでどう担保するかを考えることでもある。

 「そのためには、まずビジネスサイドの要件を明確にすることが必要です。具体的には、リスクアセスメントを実施し、目標復旧時間(RTO)などビジネスサイドの要件を明確化します。それを基に、どのような技術でどのくらいのことができるのかというITサイドの要件を固め、その上で運用ポリシー/ルールを決め、テストを行い、実際に運用を行っていきます」

 これを実現する上では、ITサイドには「ツールの導入ありき」のバックアップ対策ではなく、「業務に則したバックアップ」を行うことが求められる。例えばERPシステムの場合なら、「2日以内に支払い業務を再開すること」を目的にし、そのために必要なデータレプリケーションシステムを導入するといった具合だ。

 バックアップは万一の際の対策ではなく、日々の事業継続に欠かせない取り組み。後日、具体的な方法論を含め、セミナー当日のリポート記事を公開する。

※2014年6月18日に公開した記事を6月26日に一部更新しました。

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