ヴイエムウェアが提供するパブリッククラウド「vCloud Air」が日本でも利用可能になりました。特徴的な利用体系や企業利用を念頭に置いたサービスなどが注目されています。本連載では基礎情報から、具体的な使い方までを順を追って紹介していきます。
「AWS(Amazon Web Services)」「Microsoft Azure」など、優良なパブリッククラウドが提供されている中、仮想マシン技術やプライベートクラウドで大きなシェアを誇ってきたヴイエムウェアが手掛けるパブリッククラウドサービス「VMware vCloud Air(以降、vCloud Air)」が2014年11月に日本でリリースされました。
vCloud Airは次世代のITシステムの姿としてハイブリッドクラウドをコンセプトとしています。ハイブリッドクラウドは、オンプレミスやプライベートクラウドと、パブリッククラウドの双方を利用する形態です。
ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスやプライベートクラウドとパブリッククラウドの接続性や柔軟な運用性が重要となってきます。仮想化のパイオニアであるヴイエムウェアが提供するvCloud Airは、接続性、柔軟な運用性を実現する真のハイブリッドクラウドとして期待されています。
vCloud Airは課金形態に特徴があります。多くのIaaS型クラウドサービスでは、費用は仮想サーバー単位で設定されています。これに対し、vCloud Airでは「リソースプール」という形で設定されます。
リソースプールとはCPU、メモリ、ストレージ容量、ネットワーク帯域からなるリソースのグループです。リソースプールでは仮想マシンの数に縛られず、リソースプールの範囲内で自由に仮想マシンを作成できます。
従来の仮想サーバー単位の考え方からコンピューティングリソース単位への考え方の転換は、本来のクラウドコンピューティングの理想により近いと考えられます。
リソースプール単位の課金形態については、従来の仮想サーバー単位と比べて、購入したサーバーリソースを効率よく利用することでコストメリットが出せるという利点があります。
しかし、少数のサーバーでリソースが余る場合や、特定のリソースのみを突出して利用する場合にはリソースプールを十分に使いこなせず、コストメリットが合わない可能性もあるので、利用を検討する際には注意が必要です。
具体的に、vCloud Airのサービスメニューを紹介しましょう。vCloud Airを利用するに当たっては、基本サービスとして以下の3つが選択できます。
専有型クラウドサービス(DC:Dedicated Cloud)
物理的に分離されたサーバー専有型のサービスです。高いセキュリティとコンプライアンスが要求されるシステムなどに利用されます。
共有型クラウドサービス(VPC:Virtual Private Cloud)
論理的に分割されたサーバー共有型のサービスです。完全なマルチテナント環境で、サービス利用時に設定したコンピューティングリソースを利用できます。
災害対策サービス(DR:Disaster Recovery)
オンプレミスのvSphere環境で実行中のシステムをvCloud Air上へレプリケーションするサービスです。 簡単かつ低コストでオンプレミスの災害対策を行うことが可能となります。
次に基本サービスごとに、リソースプールを指定します。指定するリソースは大きく分けて以下の3つになります。
いずれのサービスにおいてもリソースごとの追加が可能ですので、例えばストレージだけ拡張したい場合はストレージ容量だけを追加できます。
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