注目のグローバルIT企業トップに話を伺うインタビューシリーズ。今回は、エンタープライズ NoSQLの先駆者として市場をリードするテクノロジ企業「MarkLogic」の日本支社長、三浦デニース氏に話を聞いた。
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、いま注目のグローバルIT企業トップに話を伺うインタビューシリーズ。第3回は、エンタープライズ NoSQL(Not Only SQL)データベースを提供する「MarkLogic(マークロジック)」の日本支社長 Denise Miura(三浦デニース)氏にお話を伺った。
米国企業の代表取締役として日本に進出するに当たって三浦氏が重視したのは、慎重にプロセスを踏むこと、そしてユーザー事例をふんだんに用意することだった。米国人の視点で見る日本市場の特徴は、エンジニア読者の参考になるだろう。そして、海外展開を考えるエンジニア/企業も参考にしてほしい。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 最初に基本的なことをお訊ねします。マークロジックの創業はいつですか?
Denise Miura氏(三浦デニース:以降、三浦氏) 2001年です。今年で創業14年目、この業界の企業としては古い方に属すると思います。私は今年で在籍11年目です。
阿部川 マークロジックについて、簡単にご説明いただけますか?
三浦 マークロジックは、エンタープライズ仕様(※)のNoSQLデータベースを提供する企業です。
日本でもここ2〜3年でNoSQLという言葉がよく聞かれるようになったと思います。特に最近は多くの新たなデータベースベンダーがこの市場に参入し始めています。わが社は極めて早い時期からこの市場に参入し、テクノロジを提供してきました。
「MarkLogic」はリアルタイム検索とアプリケーション機能を持つデータベースです。今日のデータの88%を占めるといわれる画像や音声、SNSなどの非構造化データや混合データを含む、あらゆるタイプのデータに対応した構造を持っています。従来のデータベース、つまりRDBが持つデータの完全性や一貫性への対応に加え、セマンティックやリアルタイム検索などの先進的な技術を一つの統合されたプラットフォームの上で実現する技術を持つことで、わが社は業界の中でもアドバンテージがあると思っています。
マークロジックの本社は米国、カリフォルニアのシリコンバレーにあり、約450人の従業員がおります。現在、世界各国で500を越える企業や政府、公共機関の顧客を抱えています。
阿部川 マークロジックの、主力製品は何でしょうか?
「MarkLogic サーバー」です。多くのミッションクリティカルな基幹業務に採用されています。J.P.モルガン、ドイツ銀行、UBSなどでのデリバティブに代表される金融商品の取り引き、世界的なメディア企業であるBBC(英国放送協会)のオリンピック/スポーツ関連のWebサイトや動画配信、米国の国民皆保険制度であるオバマケア(通称)のような社会保障業務、また省庁や政府公共機関などでご利用いただいています。
今あるデータの全てを利用したい、つまり全ての情報から価値を生み出したい、と思わない組織はありません。分断した環境にあるデータをどうやって検索したり分析したりするかについての解決策を求めていない組織もありません。データが生み出す経済価値はとても重要なのに生かしきれていない。これはあらゆる組織が抱えている共通の問題です。わが社はこの課題に解決する基本的なソリューションを10年以上提供し、新しいソリューションを開発し続けているのです。
阿部川 なぜ、貴社ではそのようなサービスを提供できるのでしょうか? 技術力でしょうか、それとも卓越したビジョンがあるからでしょうか?
三浦 その両方だと思います。創業者のChristopher Lindblad(クリストファー・リンドブラッド 以降 クリス)は、米インフォシークでウルトラシーク サーバー開発のチーフアーキテクトをしていました。
当時の顧客がクリスに「君たちのサーチエンジンのアイデアはとても良いと思うのだが、もう少し、例えばデータベースのような機能を持つことは出来ないだろうか」と言い、彼は「なるほど!」とひらめいたそうです。それで彼はインフォシークを辞め、マークロジックを設立しました。わが社に「サーチエンジンとデータベースを融合する」という開発理念が根底にあるのは、こういうわけなのです。
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