2015年8月20日(日本時間)、Windows Server 2016の最新プレビューリリース「Windows Server 2016 Technical Preview 3」が公開されました。本連載でこれまでに取り上げた内容からの変更点や、新たに追加された機能をまとめて紹介します。新機能については次回以降で詳しく解説します。
「Windows Server 2016 Technical Preview 3」(以下、Windows Server 2016 TP3)では、新規(クリーン)インストールのインストールオプションが「Windows Server 2016 Technical Preview 3」と「Windows Server 2016 Technical Preview 3(Server with Desktop Experience)」に変更されました(画面1)。前者はTechnical Preview 2(以下、TP2)までと同様に「Server Coreインストール」のオプション、後者はGUI(Graphical User Interface)のフル機能を含む新しいオプションになります。
本連載第15回で説明したように、TP2では「Server Coreインストール」と「最小サーバーインターフェース(with local admin tools)」の二つのインストールオプションが提供されていました。最小サーバーインターフェースは、Server Coreインストールをベースに「サーバーマネージャー」やMMC(Microsoft Management Console)スナップインの管理コンソール、コントロールパネルの一部を実行するための最小限のGUI機能を提供するものです。
Windows Server 2016 TP3の新しいインストールオプション「Windows Server 2016 Technical Preview 3(Server with Desktop Experience)」は、サーバーのGUI機能の全て、つまり「Server Graphical Shell(サーバーグラフィカルシェル)」だけでなく、「Desktop Experience(デスクトップエクスペリエンス)」を含みます。「Desktop Experience」は主にリモートデスクトップサービス向けのGUI機能ですが、それが最初からインストールされます(画面2)。
Windows Server 2016 TP3には“Windows 10の新しいGUI”が搭載されていますが、それにはWindows 10で新しくなったWindows Update機能などを含む「Settings(設定)」アプリも含まれます。
筆者が想像するに、この新しいインストールオプションは、GUIコンポーネントの分離が進んでいない結果だと思います。Windows Server 2016のWindows Update機能が正式リリースでどうなるのかは現段階では分かりませんが、今利用できるGUIベースのWindows Update機能は「Settings(設定)」アプリのものしか存在しないのでしょう。
Windows Server 2012以降、Server CoreインストールとGUI環境は「コンポーネントの追加と削除」で切り替えることができますが、Windows Server 2016 TP3では「切り替えがサポートされない」というプレビューリリースの制限があります。今後のプレビューリリースや正式リリースでは、インストールオプションがまた変更になると予想しています。
Windows Server 2016 TP3の提供に合わせ、「Windows 10用のリモートサーバー管理ツール(Remote Server Administration Tools:RSAT)for Windows 10」がリリースされました。
RSAT for Windows 10は、Windows Server 2016 TP3に対応した最新の「サーバーマネージャー」と「役割と機能」管理ツール(MMCスナップインやWindows PowerShellモジュール)を、2015年7月末に正式リリースされたWindows 10 ProやWindows 10 Enterpriseに提供するものです(画面2)。Windows Server 2016 TP3だけでなく、Windows Server 2008以降のWindows Serverをリモート管理することもできます。
なお、RSAT for Windows 10は現状、英語版のみの提供となっています。日本語版のWindows 10にインストールするには、事前に「英語(米国)」の言語パックをインストールしておく必要があります。それには、「設定」アプリの「時刻と言語」→「地域と言語」で「English(United States)」の言語を追加し、Windows Updateから検索された言語パックをインストールします。RSAT for Windows 10のインストールや使用のために、表示言語を「英語(米国)」に切り替える必要はありません。
Windows Server 2016 TP3には、新しいサーバーの機能として「Containers」が追加されています。このサーバーの機能は、マイクロソフトによる“コンテナーベースの仮想化テクノロジの実装”であり、Windowsコンテナーの作成と実行を可能にします。また、Docker社との提携により、「Docker」との“管理互換”が提供され、Dockerクライアント(Docker API)を使用したWindowsコンテナーの管理がサポートされます。
マイクロソフトはWindows Server 2016の新しいコンテナーテクノロジ上で、「Windows Serverコンテナー」と「Hyper-Vコンテナー」の2種類のWindowsコンテナーをサポートする予定です。Windows Server 2016 TP3では、Server CoreベースのWindows Serverコンテナー(WindowsServerCore)の初めてのプレビューが提供されました。Hyper-Vコンテナーは2015年内を目途に、最初のプレビューの提供に向けて開発が進められているようです。
筆者はWindows ServerにおけるDockerサポートの発表当初、Windows Server版のDockerエンジンが開発、提供され、その上でWindowsコンテナーが動作するものと考えていました。ところが、実際にWindows Server 2016 TP3に実装されたものを見ると、WindowsコンテナーがDockerエンジン上で動くわけではないことに気が付きます。Windowsコンテナーはマイクロソフト独自のコンテナー技術が提供するサンドボックス環境で動作し、Windows版のDockerバイナリはDocker互換の管理インターフェースを提供します(画面4)。
Windows ServerコンテナーとDockerのサポートについては、次回以降で詳しく説明する予定です。Windows ServerコンテナーやWindows版Dockerバイナリを試す前に、LinuxベースのDockerを経験しておくことをお勧めします。それには、以下の記事が参考になるでしょう。
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