リモートデスクトップサービス(Remote Desktop Services:RDS)関連では、TP2までに「リモートデスクトッププロトコル(RDP)10.0」、RemoteFX仮想GPUの機能強化(4K解像度やVRAMの調整、OpenGLおよびOpenCL API対応)、MultiPoint Serviceといった新機能が提供されました。
Windows Server 2016 TP3では、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)とも呼ばれる仮想マシンベースのデスクトップ展開で、第2世代仮想マシンのテンプレートが新たにサポートされます。また、セッションベースのデスクトップ展開では、従来からのマルチユーザーセッション用のコレクションに加えて、新たに「個人用セッションデスクトップ(Personal Session Desktops)」がサポートされます。
仮想マシンベースのデスクトップ展開ではこれまで、WindowsデスクトップOSのEnterpriseエディションの一般化(Sysprep)済みインストールを含む第1世代仮想マシンをテンプレートとして、仮想デスクトップ用の仮想マシンを自動作成および再作成することができました。この機能に、新たに第2世代仮想マシンのサポートが追加されます(画面10)。
個人用セッションデスクトップ(Personal Session Desktops)は、Windows Server 2016 TP3を実行するリモートデスクトップ(RD)セッションホストをシングルユーザーで利用するシナリオになります。
現在、DaaS(Desktop as a Service)をクラウドで提供しようとする場合、マルチテナント環境ではWindowsデスクトップOSを実行できないというライセンス上の制限があります。そのため、主要なWindowsベースのDaaS(Azure RemoteAppやAmazon WorkSpaces)は、WindowsデスクトップOSの代わりにWindows Server OSを使用しています。個人用セッションデスクトップは、この利用シナリオをリモートデスクトップサービスの管理機能に統合するものです。
Windows Server 2016 TP3ではWindows PowerShellでのみ、この種類のコレクションを作成することができ、ユーザーの自動割り当てまたは手動割り当て、管理者権限の付与など、VDIの個人用仮想デスクトップと同様の機能を提供します。この新しいコレクションは、現状、サーバーマネージャーに統合されたリモートデスクトップサービスの管理コンソールには表示されません(画面11)。今後のプレビューまたは正式リリースでは、GUIによるコレクションの作成と管理が可能になる予定です。
Windows Server 2016 TP3の公開と同時に、「System Center 2016 Technical Preview 3」(以下、System Center 2016 TP3)もリリースされました。
System Center 2016 TP3では、主要なコンポーネントでWindows Server 2016の新機能への対応やWindows 10への対応がさらに進んでいます。例えば、「Virtual Machine Manager」は、Windows Server 2016の新しい役割である「Network Controller」へ初めて対応しました(画面12)。
Windows Server 2016 TP3およびSystem Center 2016 TP3は、以下のWebサイトから無料でダウンロードできます。Windows Server 2016 TP3の評価期限は、「2016年7月15日」まで。System Center 2016 TP3、Configuration ManagerおよびEndpoint Protectionが60日間、それ以外のコンポーネントが180日間となっています。
また、Microsoft Azureでは、Windows Server 2016 TP3ベースのAzure仮想マシンのテンプレートが用意されており、簡単に評価することができるようになっています。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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