Office 2016が正式提供されてから1カ月以上が経過しました。この1カ月間でOffice 2016の更新プログラムの配布と更新ブランチの関係について見えてきたことがあるので、皆さんに共有したいと思います。
「Office 2016」にはWindows版とMac版がありますが、本稿はWindows版の話になります。Windows版のOffice 2016は、ボリュームライセンス製品を除く全ての製品が「クイック実行(Click-To-Run:C2R)」形式で提供されること、Office 365 ProPlusとその他のエディションで既定の「更新ブランチ」(Branchは“分岐”という意味)が異なることは、以下の記事で説明しました。
クイック実行版のOfficeの更新プログラムは、Windows Updateでは配布されず、Officeアプリケーションに組み込まれた更新機能によって適用されます。既定では「自動更新」が有効になっているため、インターネットと通信できれば自動的に最新バージョンがチェックされ、必要があれば更新されるようになっています。
本稿執筆時の筆者のOffice 2016は、バージョン「16.0.6001.1034」です。このバージョンは、10月23日ごろに配布されたものです。これ以前の古いバージョンの場合は、Office 2016アプリケーションの「ファイル」メニューから「アカウント」を開き、「更新オプション」の「今すぐ更新」を実行することで、最新バージョンに更新できます(画面1)。なお、新しいバージョンが提供された後にOffice 2016を新規インストールした場合は、最新バージョンがインストールされます。
10月には、広範囲のOfficeに影響する重要なセキュリティ情報がいくつか公開されました。このうち、三つのセキュリティ情報(MS15-81、MS15-099、MS15-110)はOffice 2016にも影響するものです。また、Office 2016向けのセキュリティ更新プログラムもリリースされました。
セキュリティに敏感な方の中には、Office 2016向けのセキュリティ更新プログラムをインストールできずに悩んだ人もいるかもしれません。この更新プログラムはボリュームライセンスで提供されるMSI(Windowsインストーラー)版のOffice 2016向けのもので、クイック実行版向けのものではありません(画面2)。クイック実行版向けのセキュリティ更新プログラムは、クイック実行の更新機能で新しいバージョンに含まれる形で提供されます。
しかし、10月のセキュリティ情報に関連するセキュリティ更新プログラムが、Office 2016のバージョン「16.0.6001.1034」に含まれているかどうかを示すまとまった公式情報は、まだ公開されていません。おそらく含まれていると思いますが、個別のサポート技術情報(KB)を見ても判断できません。サポート技術情報に掲載されているファイルのバージョン情報を実際のものと比べ、より新しいバージョンであれば含まれていると判断できそうですが、ファイルを探すのも大変です。
ちなみに、クイック実行版のOffice 2013については、以下のWebページにバージョン履歴が公開されており、各バージョンに含まれるセキュリティ更新およびセキュリティ以外の更新を確認できます。
Office 2013の場合は「更新オプション」の「更新プログラムの表示(この製品の更新履歴を表示します)」をクリックすると、このページに誘導されます。Office 2016の場合は「Office 2016の新しい機能と改善された機能」というページに誘導されます。そのページには、今のところ、Office 2016のバージョン履歴はありません。
Office 2016の導入を検討している企業は、このような情報公開を含む、Office 2016の周辺サービスがしっかりと整ってからアップグレードした方がよいかもしれません。
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