筆者が確認した限り、Office 2016のリリース時のバージョンは「16.0.4229.1024」でした。その後、10月末までに「16.0.4229.1029」(おそらく9月末リリース)と「16.0.6001.1034」と2回の更新がありました。
筆者にはOffice 2016の環境が複数台ありますが、PCによって更新タイミングが異なることに気が付きました。10月末までに「Office 365 Solo」がインストールされたPCは、二つの更新バージョンが配布されました。
「Office 365 ProPlus」がインストールされたPCは、二つの更新バージョンが配布されたものと、「16.0.6001.1034」が始めての更新バージョンであったものに分かれました。
もう一つ、MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクリプション版のOffice Professional 2016がインストールされたPCもありますが、こちらはリリース時が「16.0.4266.1003」で、「16.0.6001.1034」が始めての更新バージョンでした。
この更新バージョンの提供タイミングの違いに気が付いたのは、10月中旬までに「16.0.4229.1029」に更新されているPCと、リリース時のままで最新バージョンといわれるPCの二つがあったことでした。いろいろと試してみたところ、どうやら提供タイミングの違いは、更新ブランチの違いからくるものと分かりました。
筆者のOffice 365 ProPlusで「16.0.4229.1029」が配布されなかったのは、Office 365のポータルから「先行リリースオプション」を使ってインストールしたものです(画面3)。もう1台の「16.0.4229.1029」が配布されたものは、「Office展開ツール」で更新ブランチを「CB(Current)」に明示的に指定してインストールしたものです。更新ブランチは、Office 2016のグループポリシーで変更することもできます(画面4)。
Office 365 Soloは、短いサイクルで新機能やセキュリティ更新が提供される「Current Branch(CB)」です。Office 2016のパッケージ(POSA)製品や企業向けのOffice 365 Business、Office 365 Small Businessも同様にCBです。
Office 365 ProPlusサブスクリプションとOffice 365 Enterprise E3/E4サブスクリプションで提供されるOffice 365 ProPlus製品は、既定が「Current Branch for Business(CBB)」です。
Office 365 ProPlusのCBBはまだ始まっておらず、2016年2月に開始される予定です。すでにお使いのPCにOffice 365 ProPlusがインストールされているとしたら、Office 365の管理者によって、先行リリースである「First Release for Current Branch for Business(FR CBB)」で提供されたものか、Office展開ツールでインストールされたものでしょう。
筆者は、「CBは新機能がすぐ提供される」「CBBはCBでの検証後に新機能が提供される」と認識していました。しかし、実際は新機能以外の更新プログラムに関しても、CBで検証後にCBBで提供という手法が採られているようです。
Office 2016へのアップグレードを検討している企業には、CBのパッケージ製品やサブスクリプションよりも、安定したバージョンが提供されるCBBのOffice 365 ProPlusをお勧めします。Office 365 ProPlusを利用できるサブスクリプションをご利用中なら、急いでアップグレードせずに、CBBが始まる2016年2月まで先行リリース(FR CBB)を別環境でテストしておくとよいでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.