米IDCは、パブリッククラウドサービスへの支出の今後の推移を予測した新たなリポートで、パブリッククラウドサービスへの世界的な支出が、2019年には2015年の2倍以上に達すると予測している。
米IDCは2016年1月21日、世界におけるパブリッククラウドサービスへの支出についてのリポート、「Worldwide Semiannual Public Cloud Services Spending Guide」について発表した。同リポートでは、同社は2015年の世界におけるパブリッククラウドサービスへの支出を700億ドル近くと推定。これが2019年には1410億ドル以上と、2倍以上に増加すると予測している。同期間の年平均成長率は10.4%で、IT支出全体の成長率と比較して6倍近くに達するという。
SaaS、PaaS、IaaSの別では、SaaSへの支出が一貫して最大であり、同期間をほぼ通じてパブリッククラウドへの支出の3分の2以上を占め続けるという。一方、IaaSとPaaSの年平均成長率はそれぞれ27.0%、30.6%で、SaaSよりも高い成長を遂げるとしている。
米IDCのシニアバイスプレジデント兼チーフアナリストであるフランク・ジェンズ(Frank Genz)氏は、「2018年までに、ソフトウェアベンダーの大部分がSaaS/PaaSのコードベースへ完全に移行する。これにより、多くのエンタープライズソフトウェア顧客は、次の大きなソフトウェアアップグレードについて決断する時期に来たとき、(ベンダーから)SaaSを優先選択肢として勧められることになる。クラウドで生まれる新たなソリューションと、クラウドへ移行する従来型のソリューションの双方が、より多くの顧客とそのデータを、着実にクラウドへけん引していく」と述べている。
業種別では、組立製造業、金融、プロフェッショナルサービスの3業種が、それぞれ86億ドル、68億ドル、66億ドルで、2015年にパブリッククラウドサービスへの最も多額の支出をしていたという。2019年には、プロフェッショナルサービスが金融に代わって第2位に上昇するだろうとIDCはいう。
2015年の業種別支出は、アジア太平洋地域のみ電気通信業が第2位で、2019年には同地域で第1位になると予測している。
電気通信業は世界的に見て、パブリッククラウド利用が最も急速に成長する業種であり、2014〜2019年の年平均成長率は22.2%に達するという。他に20%以上成長する業種としては、メディア、国/地方の公的機関、教育、流通、運輸、資源産業を挙げている。
企業規模別では、大企業および超大企業が、2019年に800億ドル以上を占め、パブリッククラウドサービス利用をけん引するという(筆者注:同年のパブリッククラウド支出1410億ドルのうち800億ドルなので、58%に相当する)。だが、従業員500人未満の中堅・中小企業も、予測期間を通じて40%以上を維持するだろうとしている。
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