Windows Server 2016の「リモートデスクトップサービス」には、いくつか新機能が搭載されます。今回は、Windows Server 2016 Technical Preview(TP)3およびTP4から利用可能になった「セッションベースのデスクトップ展開」の新機能を説明します。
Windows Server 2012以降の「リモートデスクトップサービス(RDS)」では、リモートデスクトップ(RD)セッションホストのマルチユーザー利用環境である「セッションベースのデスクトップ展開」と、VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラストラクチャ)とも呼ばれる「WindowsデスクトップOSを実行する仮想マシンベースのデスクトップ展開」のいずれか、あるいは両方を簡単にセットアップし、統合的に管理できるようになりました。
基本的なRDSのインストール、構成、管理方法は、次期バージョンのWindows Server 2016においても、Windows Server 2016 Technical Preview(TP)4の現時点までは変わっていません(画面1)。
細かく見ると、Windows Server 2016 TP3では「個人用セッションデスクトップ(Personal Session Desktop)」という新しい“コレクション”がサポートされました。この新しいコレクションの機能を理解するには、現在のRDSで利用可能なコレクションの種類と機能を知るのが近道です。
これまで、セッションベースのデスクトップ展開では「≪セッションコレクション(Session Collection)c」が唯一のコレクションでした。一方、仮想デスクトップコレクションには、次の4つのコレクションが用意されています。
(1)管理されているプールされた仮想デスクトップコレクション(Managed Pooled Virtual Desktop Collection)
(2)管理されていないプールされた仮想デスクトップコレクション(Unmanaged Pooled Virtual Desktop Collection)
(3)管理されている個人用仮想デスクトップコレクション(Managed Personal Virtual Desktop Collection)
(4)管理されていない個人用仮想デスクトップコレクション(Unmanaged Personal Virtual Desktop Collection)
「プールされた仮想デスクトップコレクション」は、WindowsデスクトップOS(Windows 7/8.1/10 Enterprise)を実行する複数の仮想マシンをプール化し、ユーザーからの要求に応じてHyper-Vホスト間で負荷分散するように仮想デスクトップを自動割り当てし、切断されたセッションへの再接続機能を提供します。
プールされた仮想デスクトップコレクションでは、ログオフ時にユーザーによる変更を破棄し、仮想デスクトップの環境を自動的にロールバックする機能がサポートされます。また、以前とは異なる仮想デスクトップへの接続や自動ロールバック機能があってもユーザー環境を再現できる、「ユーザープロファイルディスク(ユーザープロファイル格納用の仮想ハードディスクの自動マウント)」がサポートされます。
一方、「個人用仮想デスクトップコレクション」は、1ユーザーに1つの仮想デスクトップを恒久的に割り当てるもので、その割り当て方法にはユーザーからの要求に対して先着順に自動的に割り当てる方法と、手動で事前に割り当てておく方法の2つがあります。こちらは、自動ロールバック機能やユーザープロファイルディスクはサポートされませんが、ユーザーに対してWindowsのローカル管理者権限を付与することが可能です(表1)。
RDSの仮想デスクトップコレクションには、「管理されている(Managed)」と「管理されていない(Unmanaged)」という種類の違いもあります(図1)。
前者(管理されているコレクション)は「システム準備ツール(Sysprep)」を実行して一般化した仮想マシンのイメージから、必要な数の仮想デスクトップを自動プロビジョニングして作成するコレクションです。「管理されている」「プールされた仮想デスクトップ」は、更新されたテンプレートを使用した仮想デスクトップの再作成によるパッチ管理をサポートしています。
後者(管理されていないコレクション)では、既にプロビジョニング済みの仮想マシンをグループ化して、1つのコレクションを作成します。
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