ScratchからMinecraft Piを操作するには「Scratch2MCPI」という、ScratchとMinecraft Piを橋渡しするものをインストールする必要がある。
「Scratch2MCPI」とは、Scratchからの命令をMinecraft Piに伝えたり、逆に、Minecraft Piからの情報をScratchに伝えたりする役割を持つソフトウェアだ。
中に用意されているブロック形式の命令は、Scratchでは、「スプライト」という、Scratchの中で使用可能なキャラクターやオブジェクトに対して使用できる命令であって、Minecraft Piでは使用できないものが多い。Minecraft Piで使用できる命令は、「Scratch2MCPI」で、Minecraft Piと遠隔センサーが有効になった時点で、追加され使用が可能になる。
この場合は、使用できる命令は、そんなに多くはない。Minecraft Pi内の世界をリセットしたり、座標を取得したり、配置するブロックの種類を指定したり、ブロックを配置したり、ブロックをヒットさせたときの座標値を取得したり、ブロックを消したり、といったブロックに関するコマンドなどがMinecraft Piで使用可能になっている。Minecraft Pi内のキャラを操作するコマンド自体は存在していない。
Scratch2MCPIは、Raspberry Pi 2にOSのRaspbianをインストールしても、同時にインストールされるものではない。別途インストールする必要がある。
Scratch2NCPIのインストール解説は動画2だ。
インストール時にターミナルから打ち込むScratch2MCPIのコマンドも下記に示しておく。
curl http://scratch2mcpi.github.io/install.sh | sh
インストールについては、下記のサイトも参考にしてほしい。
「Scratch2MCPI」をインストールすると、デスクトップ上に「Scratch2MCPIのアイコン」が作成される(図3)。
まず、Minecraft Piを起動して「Start Game」→「Create New」から新しいワールドを作成して、ワールドが作成されたのを確認して、デスクトップ上の「Scratch2MCPI」のアイコンをクリックしてScratchを起動する。この順番を間違えると、ScratchとMinecraft Piの「遠隔センサー接続」が有効にならないので、十分に注意してほしい。
「Scratch2MCPI」の画面も基本的にScratchと変わらない。「遠隔センサー接続が有効になりました」と表示される(図4)。
前述した手順でScratchを起動すると、「遠隔センサーの接続が有効になりました」と表示される(図4参照)。しかし、この状態でもまだScratchとMinecraft Piは使える状態にはなっていない。しばらく待っていると、図5のように黒い画面が表示され、「スクラッチと接続しました。」と表示され、Minecraft Piにも「Scrach2MCPI Connected to Minecraft Pi.」と表示される。
これで、完全にScratchとMinecraft Piが接続された状態になる。この表示された黒い画面が「Scratch2MCPI」の正体だ。
完全に「Scrach2MCPI」とMinecraft Piとが接続されると、図6のように「制御」「変数」の分類の中に、Scratchにはなかった命令が新たに追加されている。ドロップダウンになっており、いろいろ命令の選択が可能になっている。
Scratch2MCPIとMinecraft Piを接続して、追加される命令を紹介したのが下記の動画3だ。
ScratchとMinecraft Piのプログラミングは、この図6で追加された命令を使って組み立てていく。もちろん、元からあった命令とも組み合わせて使用することも可能だ。特に「制御」分類の中にある命令と組み合わせて使用することが多い。
ブロックを何段も積み上げたり、積み上げたブロックを消したり、また種類の異なるブロックを配置したり、いろいろな形をしたブロックを創造したり、ブロックの壁をたたいて、その座標値を取得したり、といったことが主な内容になる。ScratchからMinecraft Piのキャラを操作することはできない。
Raspbian上で動作するMinecraft Piは「クリエイティブモード」のみの対応であるため、基本的に「ブロックで物を創造していくものだ」という認識を持っておいてもらいたい。
なお、Windows版のMinecraftには「Learn to Mod」といって、Scratchのようなビジュアルプログラミング言語を使って、Minecraftのキャラを操作したり、武器の威力を高めたりといったことが可能なプログラミング教育サービスもある。
「Learn to Mod」を利用するには年会費30ドルが必要だ。興味のある方は下記のサイトを参照してほしい。
以上が「Scratch2MCPI」とMinecraft Piの接続と、追加された命令の解説だ。次回は、いよいよ「Minecraft Piの世界に各種ブロックを積み上げる」プログラミングを解説する。Scratchでプログラミングした結果を、Minecraft Pi反映させてみる。まずはブロックを10段ほど積み上げるサンプルプログラムを作成してみるので、お楽しみに。
薬師寺国安事務所代表。Visual Basicプログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。
1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。
1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット「PROJECT KySS」を結成。
2003年よりフリーになり、PROJECT KySSの活動に本格的に参加。.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。
Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindowsストアアプリを多数公開中。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。
Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。
Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。
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