証券、金融取引でブロックチェーン技術適用の可能性を探る動きが日本国内でも。JPXはOSSの分散台帳フレームワークで、みずほフィナンシャルグループはAzure BaaSで検証を行う。
国内の複数の金融機関で自社取引システムでのブロックチェーン技術適用に向けた具体的な検証準備が進んでいることが明らかになった。
東京証券取引所などを含む日本取引所グループ(JPX)は、ブロックチェーン技術に関する実証実験を2016年3月から開始する。実証実験の支援を担当する日本IBMが発表した。
今回の実証実験は、「ブロックチェーン技術の評価」と「低コストでの運営可能性」を検証するもの。検証では、今後の技術標準化動向や複雑な業務への適用を考慮して、Linux Foundationが主導して開発を進めるオープンソースの分散台帳フレームワーク「Hyperledger」を利用する予定だという。
日本IBMでは今回の実証実験について、日本IBMだけでなく、IBM東京基礎研究所およびIBMリサーチと連携し、IBMが金融系顧客との間で培ったノウハウも取り入れた活動を行うとしている。
一部報道によると、まずは比較的規模が小さい未公開株取引でブロックチェーン技術適用の可能性を検討する予定であるとされている。
みずほフィナンシャルグループも、電通国際情報サービス(ISID)、日本マイクロソフト、カレンシーポートの3社と共同で2016年2月からブロックチェーン技術の実証実験を開始する。カレンシーポートは取引記録や決済手続き、監査機能をシステムに組み込むための基盤技術を開発するスタートアップ企業。
4社は、ブロックチェーン技術は高速・安全・廉価なシステム構築実現の可能性があるとしながらも、業務分野ごとのルール策定、既存システムとの融合といった、本格展開に向けての課題が多く残っていると指摘。まずはシンジケートローン業務を対象として、適用の可能性を探るという。
4社の実証実験では、マイクロソフトのブロックチェーンサービス「Microsoft Azure Blockchain as a Service(Azure BaaS)」を利用する。Azure BaaSは、「イーサリアム」上のアプリケーションを開発するConsenSysと提携して2015年11月にサービス化したもの。イーサリアムは分散型アプリケーションや「スマートコントラクト」を構築するためのプラットフォームで、P2P型のネットワークを持ち、ブロックチェーンを利用する。スマートコントラクトとはビットコインにおける「採掘」のように、履行履歴の正当性を保証する仕組みを指す。
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