Amazon、楽天、ヨドバシ、ユニクロ――ECサイトの売上8割を占める「リピート売上」を改善する3種の神器とは「コンバージョン率改善」×「在庫の見せ方」=「衝動買い」(2)(2/3 ページ)

» 2016年03月22日 05時00分 公開
[岩崎善彦オープンストリーム]

【2】販売促進ツールとして「メール」はSNSよりも何十倍の効果がある

メールはSNSよりも優れた販売促進ツール

 「SNS」が全盛の現在、インターネットショッピングを利用するユーザーは、SNSアカウントを持っていないことの方が少ないでしょう。商品紹介やセール告知については、従来のメールマガジンやダイレクトメールの他に、SNSを使った告知も増えてきています。FacebookやLINEのタイムラインで、企業からの告知を目にする機会が増えてきたと感じる方も多いのではないでしょうか。

 登録が必要な「メールマガジン」よりも、日常レベルで利用されるSNSの方が、裾野も広く多くの人の目にとまるように感じます。しかしながら、現状ではメールマガジンはSNSよりも優れた販売促進ツールといえます。

 SNSでの告知は、情報がすぐに流れ去ってしまいます。タイムラインには企業からの告知だけではなく、友人知人の投稿やシェアも表示され、リアルタイムでどんどん更新されます。タイミングによっては、1度も目に触れない告知もあるでしょう。

 また、企業もSNSを多く利用するようになったとはいえ、SNSの根底は個人と個人のつながりです。例えばLINEですが、企業からの情報を集めるツールとして利用しているユーザーがどれだけいるでしょうか。LINEはあくまでも、個人間の連絡を取ることに重きをおいたSNSです。その点、メールでの告知については、企業からのものであっても抵抗感は少ないでしょう。

 また、機能面でも「一覧性に優れている」「取捨選択がしやすい」「検索がしやすい」などの長所があります。

 上記のような理由により、販売促進ツールとしての優位性は、メールに一日の長があるでしょう。

 なお、近い将来FacebookやLINEなどのSNSが、ECサイトと協業して(=アカウントを共有/連携して)行うネットショッピングが主流になった場合は、この限りではありません。加えて、SNSの投稿からそのユーザーに最適な広告を出すなどの試みは始まっています。また、スマートデバイスと連携を行い、位置情報からプッシュ通知を行うなどの即効型の販売促進も徐々に広まっています。

フォローメールはSNSにはまねできないユーザー密着型の販売促進が可能

 メルマガやDMにはできて、SNSでは実現しづらいものに、「フォローメール」というものがあります。

 フォローメールとは、購入を直接的に促すのではなく、ユーザーが購入した商品の活用方法などの情報を盛り込むなど、商品の買い替え時期をご案内するメールです。ユーザーにとって価値のあるメールといえます。売って終わりではなく、プラスαの情報を継続的に提供できることは、明確な差別化ポイントになり、ユーザー満足度を向上させます。

 ユーザー満足度を向上させることは、「ロイヤルカスタマー」への第一歩でもあります。

 例えば、購入完了後にお礼を送ったり、商品到着後に評価依頼を送ったりするようなことは、SNSのタイムラインで実現するのは今のところ難しいです。メルマガやDMは会員情報と連携しているので、SNSでは実現の難しいユーザー密着の販売促進を行えます。例えば、ユーザーの行動や状況に合わせた内容を送ることにより、丁寧で温かみのある印象を与えることができるでしょう。

 また、ECサイトは購入履歴を持っているので、商品のライフサイクルと照らし合わせて「そろそろ買い替え(買い増し)しませんか」という提案型のご案内も、メールであれば比較的容易に行えます。

【3】多種多様なキャンペーンを開催し「いつでもキャンペーン実施中」を目指そう

いつでもキャンペーン実施中を目指してリピーターの心をつかむ

 多種多様なECサイトがある中、ユーザーの目も肥えてきています。「Amazon」「楽天Books」を使い分けるユーザーも多いでしょうし、「ヨドバシドットコム」「ビックカメラドットコム」の両方で買い物するユーザーもいるでしょう。

 ある2つのECサイトがあったとします。一方のECサイトは毎日トップページのお勧め商品を小まめに変更し、ユーザーからのレビューも日々更新されています。スタッフのブログなどもあります。昨日までのポイント倍増キャンペーンが終わり、今日からはサマーセールが始まるようです。もう一方は、トップページは一切更新されることなく、いつ見ても同じです。

 目の肥えたユーザーなら、どちらのサイトを利用したいと思うかは明らかだと思います。ECサイトは、変化に富んだものにして、ユーザーを何度も訪問したくなる気持ちにさせる必要があるのです。

 サイトに興味を持ったユーザーは、最初は何度かサイトを訪問してくれるでしょう。しかし、そのサイトがいつ見ても同じだったらどう思うでしょうか? 「訪問は必要最低限でいいな」と思うに違いありません。これでは、リピーターにはなってもらえません。トップページに新着の商品が表示されるデザインも多いですが、もしそれがない場合には、仮に新着一覧ページに日々刻々と新商品が追加されていたとしても、そのページヘのリンクをクリックしてもらえないかもしれません。

 サイトに変化を持たせる方法にもいろいろありますが、ECサイトがショッピング目的のサイトである以上、ユーザーが最も興味を持つのは、ショッピングの際にメリットをもたらすもの、いわゆる値引きなどの「キャンペーン」です。

 もし訪問するたびに違うキャンペーンを開催しているECサイトがあったらどうでしょうか。新規ユーザーだけでなく、既にリピーターになっているユーザーも、今回のキャンペーンでどんなものがお得になっているのか一通り確認するはずです。これなら、リピーターを飽きさせることもありませんし、新規ユーザーがリピーターになる期待も高まります。

 このように、ユーザーの心をつかむには、キャンペーンをうまく実施していくことが必要です。理想としては、さまざまなタイプのキャンペーンを組み合わせて、ほぼ常時キャンペーンが行われている状況にすることです。

キャンペーン実施において注意すべきこと

 キャンペーンには、「定期セール」「期間限定セール」「特定ユーザーへのセール」「タイムセール」「記念セール」などの多種多様な開催方法があります。しかし、こうしたキャンペーンを適切に実施できなかった場合、赤字覚悟のセールを「一見さん」に狙い撃ちされ、セールの日しか売上が上がらないなどの弊害が発生する可能性があります。

 そうならないための注意点には、どんなものがあるのでしょうか。必ず守りたい1点は、期間や日付によって実施するキャンペーンでは、ユーザーに次回の実施日を予測されないような多様性を持たせること、つまりキャンペーンは定期開催だけにしないことです。

 例えば、毎月11日にセールを行うとします。それが半年も続けば、恐らく多くのユーザーは毎月その日に購入するようになるでしょう。確かに、リピート売上は上がりますが、それは優良顧客とはいえません。そのようなユーザーは、毎月15日にある別の店舗のセールでも買い物をするからです。

 先述したように、キャンペーンは多種多様である必要があります。その中、ユーザーを「飽きさせず、予測されない」キャンペーンの開催を目指しましょう。もし、活気持続のためにやむを得ず定期セールを実施するのであれば、対象品目を少なくするなど、実際の割引幅やポイント数は、ごく小さめに設定するのがよいでしょう。

 上記を意識してリピート売上に寄与できるキャンペーンを積極的に開催していきましょう。

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