Microsoft Azureで新サービス「Azure Container Service」の一般提供が始まりました。プレビュー提供から、わずか2カ月で一般提供となったのは、完全にオープンソースのソフトウェアであること、そして「Azure Resource Manager」により、複雑なデプロイを自動化できるからです。
2016年4月19日(米国時間)に一般提供が開始されたMicrosoft Azureの新サービス「Azure Container Service」(Azureコンテナーサービス)は、大規模環境に適した、オープンソースに基づいたコンテナ管理サービスです。2016年2月にパブリックプレビューが提供されてから、わずか2カ月で一般提供開始となりました。
「Azure」を冠することから、マイクロソフト独自のテクノロジーで構築されたサービスと思うかもしれませんが、それは間違いです。Azure Container Serviceは“完全にオープンソースのソフトウェア”に基づくサービスです。
Microsoft Azureは、Azure Container Serviceのソフトウェアを“簡単な方法で展開する手段”と“プラットフォーム”を提供しているだけです。“簡単な方法で展開する手段”とは、「Azure Resource Manager」によるテンプレートを使用した複雑なデプロイの自動化であり、“プラットフォーム”とはAzure仮想マシンや仮想ネットワーク、ストレージといったMicrosoft AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)のことです。
Azure Container Serviceでは、Apache Mesosベースの「DC/OS(Datacenter Operating System)」またはDockerの「Docker Swarm」のいずれかを選択して、コンテナのためのクラスタ環境を簡単かつ素早く構築できます。もちろん、クラスタノードはLinux(Ubuntu)であり、コンテナテクノロジーはDockerです。そして、Azure Container Serviceの料金は、Linux仮想マシンのStandardの料金に従います。
アプリケーション開発者は、オープンで、使い慣れたクライアントツールを使用して、ローカルのDocker環境で作成したコンテナ化されたアプリケーションを、手を加えることなく、簡単にAzure Container Service上に移行することができます。
また、クラスタ内のDockerホストはリソースプール化されており、コンテナの配置はDC/OSまたはDocker Swarmのオーケストレーションに任せることができます。これが、従来型のクラスタとは異なる、いわゆる「マイクロサービス(Microservices)」と呼ばれる環境の1つです。
ここまで知ったようなことを書いてきましたが、実は筆者はDockerに関しては基本的な知識しか持ち合わせていません。そこで、今回はAzure Container Serviceで、いかに簡単にDockerのクラスタ環境を手に入れることができるのかを実際に試してみましたので、ご覧ください。
Azure Container Serviceを新規展開するには、「新しいAzureポータル」(https://portal.azure.com/)の「Marketplace」で「Azure Container Service」を検索し、「Azure Container Service」または「Azure Container Service(<クラスターの構成> with <オーケストレーターの種類>)」を選択してサービスを作成します(画面1)。1つだけ事前に準備しておく必要があるのは、SSH接続用の公開鍵と秘密鍵のペアだけです。
Azure Container Serviceは「オーケストレーターの構成(Orchestrator Configuration)」をDC/OSまたはDocker Swarmから選択でき、1〜5のマスター、1〜100のエージェントノード、エージェントノードのLinux仮想マシンサイズをカスタマイズできます(画面2、画面3)。
なお、エージェントの仮想マシンサイズはA、D、DS、GまたはGSのStandardサイズから選択できますが、マスターの仮想マシンサイズはD2固定です。
「Azure Container Service(<クラスターの構成> with <オーケストレーターの種類>)」を選択する場合、「test cluster」は1マスター、3エージェントノード(D2サイズ)、「production cluster」は3マスター、5エージェントノード(D3サイズ)、「large cluster」は5マスター、10エージェントノード(D3サイズ)で構成済みとなっています。
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