エンタープライズ用途での利用が増えている「WordPress」の高速化チューニングテクニックを解説する本連載。今回は、これまで実践してきた高速化テクニックなしに、“いきなり1000倍高速”を実現できるチューニング済み仮想マシン「KUSANAGI」を活用するための「7つのポイント」を紹介します。
WordPressは、これまで紹介してきた高速化チューニングを実践することによって、1秒当たりの同時アクセス数(Requests per second)が、デフォルトのLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)環境の「11.24」から、Nginx+HHVM 3.12構成で「205.20」に、さらにNginxのFastCGIページキャッシュを使うと「12672.30」まで向上します。つまり、デフォルト環境から、最大で「約1127倍」までWordPressを高速化できます。WordPressをエンタープライズ用途で運用しているならば、これを実践しない手はありません。
この高速化チューニングは、1つ1つの行程こそ難しくはありません。しかし、実際に全てを実践するのは若干の手間と時間がかかります。
そこで今回は、これまで実践してきた高速化テクニックなしに、“いきなり1000倍高速”を実現できるチューニング済み仮想マシン「KUSANAGI」を活用するための「7つのポイント」を紹介します。
KUSANAGIは、本連載の第1回目から第10回まで実践してきた高速化チューニングを「あらかじめ済ませてある」仮想マシンイメージです。
具体的には、「CentOS 7」をベースに、PHP実行環境として「PHP 5.6」「PHP 7.0」「HHVM 3.13」および「OPcache」「APCu」などのモジュールと設定ファイルを、Webサーバには「Apache 2.4」「Nginx 1.11」および「HTTP/2」「FastCGI」「Let's Encrypt」に対応したモジュールと設定ファイルを、データベースシステムには、高速でマルチマスター構成ができる「MariaDB Galera Server 10.0」と設定ファイル、その他に「Tuned」「翻訳アクセラレータ」「ページキャッシュ」などを構成済みとしたWordPress実行環境となっています(2016年6月現在)。
KUSANAGIは、これまで紹介してきた高速化チューニング“済み”のWordPress実行環境ですので、「とにかく速い、いきなり速い」のが特徴です。例えると、ディーラーで購入する新車がデフォルトのLAMP環境とするならば、KUSANAGIは、ベース車は同じながら、あらかじめドレスアップやチューニングなどが施され、カスタマイズされた状態で販売されるコンプリートカーのようなものでしょうか。
KUSANAGIは、仮想マシンイメージとして主要なクラウドプラットフォームで無償配布されています。利用するには、普段使っているパブリッククラウドサービス上で仮想マシンとして起動するだけです。
例えば、「Amazon Web Services(以下、AWS)」であれば、AWS マネジメントコンソールから「Amazon Elastic Compute Cloud(以下、Amazon EC2)」のインスタンスを起動させる際に、AWS Marketplaceで配布されている「KUSANAGI for AWS」を指定します。作業はこれだけです(図1)。
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