ユーザーは「テストを受けるためのアカウントの設定」で指定されたWebサイトと、そのWebサイトに含まれるURLリンクにアクセスすることができます。例えば、インターネット検索サイトのURLを指定すると、そのページが表示され、Web検索と検索結果へのアクセスが可能になります(画面7)。なお、ブラウザ自身のナビゲーション機能がないため、検索ページのトップに戻ることはできません。
この機能を利用すればテスト以外にも、施設案内などの端末として応用できる可能性があります。ただし、[Ctrl]+[Alt]+[Del]キーでサインイン画面に戻ってしまうので、キーボードを隠すなどの対応は必要でしょう。
「テストを受けるためのアカウントの設定」でセットアップされたユーザーは、「テスト」アプリだけが利用できます。この他、次のようなURLリンクから「テスト」アプリを開始することもできます。
ms-edu-secureassessment:<テスト用WebサイトのURL>!enforceLockdown
このリンクをユーザーが開くと、「テスト」アプリに制御が移り、[Ctrl]+[Alt]+[Del]キーで終了するまで、Windows 10を通常の方法で利用することができなくなります。[Ctrl]+[Alt]+[Del]キーで終了すれば、通常の方法でWindows 10にサインインできるように戻ります。
テスト専用機にする「テストを受けるためのアカウントの設定」とは異なり、終了するまでの一時的なロックダウンであるため、テスト目的にはこちらの方がよいかもしれません。ただし、Windowsに詳しいユーザーは、リンク内のURLを直接ブラウザに指定して、検索サイトで答えを得ながらテストに回答できてしまいます。その点まで考慮する必要があるでしょう(画面8)。
Windows 8.1およびWindows 10の「割り当てられたアクセス」では、ローカルコンピュータにインストール済みのストアアプリ(ビルトインアプリを含む)を割り当てることができますが、Microsoft Edgeはその中には含まれません。
「テストを受けるためのアカウントの設定」は、“ロックダウンされている”という制限はありますが、Microsoft Edgeベースのブラウジング環境を提供できます。そのため、テスト目的以外にも応用できる可能性は大いにあります。
しかし、Windows 10は進化し続けるOSです。進化に必要ないと判断されれば、切り捨てられることになるでしょう。もしかしたら、この機能はWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607)だけの“幻の機能”になるかもしれません。
今回、ざっと触ってみた印象では、意味不明のエラーがポップアップされたり、テストWebサイトに接続できなかったりという現象に遭遇しました。問題なく動作するコンピュータもあったため、特定の環境に依存する問題なのかどうか切り分けまでしていませんが、この機能が十分に“テスト”されて提供されているのか、ちょっと気になっています。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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