マイクロソフトは、次世代のハイパースケールクラウド対応ハードウェア設計、及びOpen Compute Project(OCP)コミュニティーと連携した新しいオープンソースハードウェア開発モデル「Project Olympus」を発表した。
米マイクロソフトは2016年11月1日(現地時間)、ロンドンで開催された「Zettastructure:The European Digital Infrastructure Summit」で、新しいオープンソースハードウェア開発モデル「Project Olympus」を発表した。
Project Olympusは、次世代ハイパースケールクラウド型のハードウェア設計、およびOpen Compute Project(OCP)コミュニティーとのオープンソースハードウェア開発モデル。OCPはクラウドや高性能コンピューティング向けの効率的なハードウェア設計を目指し、それらの仕様のオープンソース化を推進するコミュニティー。米フェイスブックが主導し、米グーグルや米アップルなどのIT大手が参加。マイクロソフトも2014年からOCPに加わっている。
マイクロソフトは、オープンソースハードウェア開発における現状の課題を、「オープンソースハードウェア開発は2016年11月現在、オープンソースソフトウェア開発とは異なり、アジャイルでも反復的でもない。派生的な設計の開発が遅れ、コミュニティーのインタラクティブな活動や技術の導入に制限が掛かる。全体的な実用化のペースも鈍化することになる」と述べる。
こうした課題に対処するため、OCPと協力し、コミュニティーベースのオープンコラボレーションの新しいハードウェア開発モデルを推進していく。これがProject Olympusの目的だという。「Project Olympusは、これまでソフトウェア開発では採用されてきたものの、ハードウェア開発の物理的な要求とは相反していたとされるオープンソースコラボレーションモデルを適用する。私たちは、これまでとは異なるアプローチで、次世代のクラウドハードウェア設計を50%完成した段階で共有するようにする。これは従来のOCPプロジェクトと比べて、大幅に早いタイミングだ。Project Olympusは、開発が活発に進められている段階の設計を共有することで、コミュニティーがオープンソースソフトウェアと同様にハードウェア設計のダウンロード、変更、フォークを行って、エコシステムに貢献できるようにする」(マイクロソフト)。
Open Compute Project Foundationの最高技術責任者であるビル・カーター氏も、Project Olympus」の展開を歓迎する。「マイクロソフトは、オープンソースハードウェア開発の新時代の扉を開こうとしている。Project Olympusは、再創造されたコラボレーションモデルであり、それが市場にもたらす方法は、OCPとオープンソースデータセンターハードウェアの歴史において、前例がなかったものだ」(Open Compute Project Foundationの最高技術責任者 ビル・カーター氏)
Project Olympusのビルディングブロックには、新しいユニバーサルマザーボード、バッテリー内蔵の高可用性電源、1U/2Uサーバシャシー、高密度ストレージ拡張、新しいユニバーサルラックPDU(電源タップ)、標準互換のラック管理カードなどが含まれる。マイクロソフトは、「Project Olympusは、データセンター業界で最もモジュラーかつ柔軟なクラウドハードウェア設計だ」としている。
マイクロソフトは、サーバシャシーインタフェースとユニバーサルマザーボードおよびPDUの仕様をOCPのGitHubブランチで公開しており、近日、数週間以内にラックシステム全体の仕様もオープンソース化するという。
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