Pacemakerの制御コマンドを「crm」に戻して運用するDRBDの仕組みを学ぶ(12)(3/3 ページ)

» 2016年11月10日 05時00分 公開
[澤田健株式会社サードウェア]
前のページへ 1|2|3       

システムテストを実施する

 設定が正しくできたことを確認していきましょう。

 まず、crm_monコマンドで、1号機側のリソースが全て動作していることを確認します。

# crm_mon
Last updated: Thu Sep 15 15:54:11 2016          Last change: Thu Sep 15 14:40:56
 2016 by root via crm_resource on iscsi-ha2
Stack: corosync
Current DC: iscsi-ha2 (version 1.1.13-10.el7_2.4-44eb2dd) - partition with quorum
2 nodes and 7 resources configured
Online: [ iscsi-ha1 iscsi-ha2 ]
 Master/Slave Set: ms_drbd_r0 [res_drbd_r0]
     Masters: [ iscsi-ha1 ]
     Slaves: [ iscsi-ha2 ]
 Resource Group: iscsi
     portbk     (ocf::heartbeat:portblock):     Started iscsi-ha1
     res_ip     (ocf::heartbeat:IPaddr2):       Started iscsi-ha1
     iscsi-target       (ocf::heartbeat:iSCSITarget):   Started iscsi-ha1
     lun        (ocf::heartbeat:iSCSILogicalUnit):      Started iscsi-ha1
     portunbk   (ocf::heartbeat:portblock):     Started iscsi-ha1

 Mastersが一号機の「iscsi-ha1」、Slavesが二号機の「iscsi-ha2」で、リソースは全て「iscsi-ha1」にあることを確認できました。

 続いて、リソースが正常に「移動」できることを確認します。別のターミナルを開いて、crm_monでモニターしているまま、以下のコマンドを実行します。

# crm resource move iscsi iscsi-ha2

 全てのリソースが二号機へ移動したことを確認します。

# crm_mon
Last updated: Thu Sep 15 15:54:11 2016          Last change: Thu Sep 15 14:40:56
 2016 by root via crm_resource on iscsi-ha2
Stack: corosync
Current DC: iscsi-ha2 (version 1.1.13-10.el7_2.4-44eb2dd) - partition with quorum
2 nodes and 7 resources configured
Online: [ iscsi-ha1 iscsi-ha2 ]
 Master/Slave Set: ms_drbd_r0 [res_drbd_r0]
     Masters: [ iscsi-ha2 ]
     Slaves: [ iscsi-ha1 ]
 Resource Group: iscsi
     portbk     (ocf::heartbeat:portblock):     Started iscsi-ha2
     res_ip     (ocf::heartbeat:IPaddr2):       Started iscsi-ha2
     iscsi-target       (ocf::heartbeat:iSCSITarget):   Started iscsi-ha2
     lun        (ocf::heartbeat:iSCSILogicalUnit):      Started iscsi-ha2
     portunbk   (ocf::heartbeat:portblock):     Started iscsi-ha2

 先ほどの結果と違い、Mastersは二号機の「iscsi-ha2」、Slavesは一号機の「iscsi-ha1」となり、リソースは全て「iscsi-ha2」に移ったことを確認できました。

 リソースを1号機に戻します。

# crm resource move iscsi iscsi-ha1

 以上のコマンドは無事完了しましたでしょうか。

 もし、リソースが正しく移動しない場合は、リソース移動のロックが掛かっている可能性があります。この場合は、以下のコマンドを実行してロックを解除します。

# crm resource unmove iscsi

 以上で設定が正しく行われていることを確認できました。

今回のまとめ

 今回はPacemakerのクラスタを操作するcrmshと、そのコマンドであるcrmの使い方を解説しました。pcsと比べ、それぞれの利点が見えたと思います。今後の環境構築を快適にする手助けになれば幸いです。

 次回はDRBDの障害対応として「分かれば簡単 スプリットブレイン復旧法」を解説する予定です。

筆者紹介

澤田健(さわだ けん)

株式会社サードウェア

さまざまなIT関連業務経験ののちに2013年よりインフラエンジニアとしての業務に携わる。また、DRBDを始めとするオープンソースソフトウェアのサポート業務にも携わっている。ツイッターでDRBDの情報発信も行っている。TwitterID:@ksawada1979。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。