プライベートクラウド環境へ移行したら、アプリケーションのレスポンスが悪くなった(パフォーマンストラブル)SQL Serverトラブルシューティング(44)(2/2 ページ)

» 2017年04月17日 05時00分 公開
[内ヶ島暢之ユニアデックス株式会社]
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解決方法

 解決策は、原因であった「メンテナンスジョブの見直し」です。

 今回の事例では、該当するディスクユニットに本データベースサーバだけが接続されている環境だったので、影響するシステムは1つだけでした。しかしプライベートクラウド環境では、複数の仮想マシンがディスクを共有して使うのが一般的ですので、実際には、「複数のシステムが影響を受ける可能性が高い」と言えます。このリスクを避けるには、業務の重要度に合わせて専用のディスク領域を割り当てたり、場合によってはリソース専有型のサービスを利用したりするなど、他の仮想マシンやディスクの操作に影響を受けないようにする設計と計画が重要になります。

 あらためてパフォーマンス遅延トラブル対策に有効な手法は、「通常時と異常時の比較」です。正常時と違う部分を見つけ出し、なぜそれが起きているのかを考察し、今起きている現象と論理的につながるかどうかを1つ1つ見ていく作業です。そのためには、普段からパフォーマンスに関するデータを採取して、ためておく必要があります。バックナンバー「データベース処理遅延に対処するための『パフォーマンスログ』を採取する方法」「SQL Serverで『トレースログ』を採取する」を参照し、ぜひ通常運用時のログを採取する体制を整えるようにしてください。

 次回は、「業務処理がだんだん遅くなっていく」ケースの解決方法を解説します。


本トラブルシューティングの対応バージョン:SQL Server全バージョン

筆者紹介

内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)

ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2016年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。

椎名 武史(しいな たけし)

ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。


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