パブリックプレビューが公開されているマイクロソフトのRDB次期版「SQL Server 2016」。特徴の1つとするセキュリティ対策機能のポイントと目指すところをキーパーソンに聞いた。
パブリックプレビューが公開されている、マイクロソフトのリレーショナルデータベースマネジメントシステム(RDBMS)の次期版「Microsoft SQL Server 2016(以下、SQL Server 2016)」は、正式公開まであともう少しという段階だそうです。今回は日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケーションビジネス部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの北川剛氏に、その特徴の1つとうたう「セキュリティ対策機能」のポイントを聞きました。
SQL Server 2016では、たくさんの新機能がビルトインで提供される中で、特に重要な3つのキーワードがあると言います。それは、「インメモリ化」「セキュリティ対策」「高度な分析」です。
インメモリ化は、言うまでもなく性能強化のためでしょう。リアルタイムでのデータ分析が求められる昨今では、データベースシステムに、データをオンラインで更新する「OLTP(Online Transaction Processing:オンライントランザクション処理)」と、データを分析する「OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)」の両面で性能の強化が求められています。
例えば、通販サイトにおける不正防止対策を想像してみてください。大量の注文を処理し続ける一方で、不正な取引を即座に検知するには購買者の購買履歴分析などを同時に行う必要もあります。更新処理とデータ分析は、チューニングの方向性が真逆に近いとされています。これまで、多くの企業は更新処理システムと分析システム(データウェアハウス)を別々のシステムで管理してきました。しかしこの体制では、更新処理システムから分析システムへ大量のデータを頻繁にコピーするのにかかる時間などがボトルネックになり、昨今望まれているリアルタイムなデータ分析を実現できないのが課題となります。
SQL Server 2016では、この課題に応える「更新と分析の両方を強化する」ためのインメモリエンジンを発展させています。1つのテーブルに2種類のデータを持たせることで、インメモリOLTPとカラムストアを両立する機能です。具体的には、かつて「Hekaton」と呼ばれたメモリ最適化テーブル(インメモリOLTP)に列ストアインデックスを作成できるようになります。これでインメモリでOLTPと分析の両立が可能なデータベースを実現できるといいます。
高度な分析機能を提供するのもSQL Server 2016の特徴です。具体的には、「SQL Server R Services」で実現します。SQL Server R Servicesは、オープンソースの統計解析言語「R」の実行環境で、マイクロソフトが買収したRevolution Analyticsの統計解析ソフトウェア「Revolution R Enterprise」がベースとなっています。2016年1月より「Microsoft R Server」として提供されており、これをSQL Serverの機能として組み込んだものがSQL Server R Servicesとなります。無償版の「Microsoft R Open」もあります。
SQL Serverに「R」が組み込まれることで、データを移動させることなく内部で高度な分析処理が行えます。データベースから実行環境にデータを移してから処理する方法に対し、その分、処理を高速化できることになります。
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