従来の考え方に基づくIT運用では、ビジネスのデジタル化に対応できない。5つのステップを通じて、ITインフラおよび運用のアジャイル化を進める必要がある。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
企業でITインフラ&オペレーション(I&O)を担当するリーダーの多くは、長年にわたって全社最適化に力を入れてきたあまり、硬直的なインフラプロセスや、しゃくし定規なサービスパイプラインを構築してしまっている。これは、アジャイルなI&Oを実現するチャンスを逃しているということだ。
「I&Oリーダーの大部分は、いまだに従来型の技術領域/サイロに沿って編成された組織に属している。こうした組織は、バイモーダルIT、デジタルビジネス、デジタルビジネスプラットフォームなどの新しい要件に適切に対応できない。I&Oリーダーたちは、ITオペレーションの最適化や、どこに重点を置いてアジリティを推進すべきかの見極めに苦労している」。ガートナーのリサーチディレクターであるハンク・マーキス氏はこう語る。
ガートナーは、I&Oリーダーが次の5つのステップを踏み、アジャイルでパフォーマンスが高く、ビジネスに即応できるI&O組織を構築することを勧めている。
アジリティやイノベーションを軸とした考え方を組織として確立するために、高レベルな視点での、ビジネスおよびITトランザクションの改善に集中する。少数の、的を絞ったトランザクション改善目標を設定すれば、広範な分野にわたって成熟度の向上を目指す取り組みと比べて、より早く、より大きな成功が得られる。トランザクション指向は、ビジネスへの即応に向けたプロセス、技術、人の結集につながる。トランザクションの改善を目標とすることで、結果的にプロセスやサービスが向上する。
I&Oの現在の能力を評価し、これまでの成果を理解することで、潜在的な課題とチャンスを見いだす。I&Oリーダーはそうすることによってのみ、必要な変革を計画できる。評価に当たっては、「組織の成熟度」「顧客満足度」「従業員のエンゲージメント」の3分野に重点を置く。
“トランザクションにまつわる面倒”の軽減につながるような、小さな変更を頻繁に行うことを計画し、これによって関連分野の担当役員に価値を認めてもらうことを目指す。こうした役員には、I&Oの改善計画に対する関心と、必要なリソース投入のための助力を期待できる。役員に認めてもらうには、ビジネス用語を使ってコミュニケーションを行うことが重要だ。またI&Oリーダーは、改善目標として合理的な数字を設定するとともに、柔軟な取り組みを続ける必要がある。目指す成果は一気に実現されることはなく、状況に応じて徐々に達成されていくからだ。
計画を成功させる上では、所定の期間に達成できる成果を過大に見積もることが最大の障害の1つとなる。改善が進んでおり、それがビジネス価値をもたらしていることを示すことが不可欠だ。実際の目立つインパクトがあるタスクを実行することで(トランザクションの改善に集中するなど)、改善計画に弾みがつき、I&Oチームメンバーや他のステークホルダーからさらなる支援を得られる。
アジャイルなオペレーションを達成し持続するには、定期的な評価と継続的な改善が、組織文化の一部にならなければならない。半年か四半期に1回、各領域についての再評価を行うことが、改善に向けたベストプラクティスとなる。最も大きな成功を収めている組織は、ユーザーや顧客とのトランザクションに直接関連する幾つかのタスクにまず集中し、それらについて結果を出し、さらに次のタスクを見いだして集中し――といったプロセスを繰り返して、改善を継続している。
出典:5 Steps to Build Agile Infrastructure & Operations(Smarter with Gartner)
Director, Public Relations
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