マイクロソフトは2017年4月12日(日本時間、以下同)、当初の予定通り、Windows Vista(Service Pack 2)に対する全ての製品サポートを終了しました。次にサポートが終了するのはWindows 7ですが、まだ3年もあると思っていませんか。それよりも前に、セキュリティ更新提供が終了するWindows 10があります。
本連載第86回では、先日、2017年4月12日(日本時間)に全ての製品サポートが終了したWindows Vistaのサポート終了までのPCの挙動(筆者の予想を含む)と、Windows VistaのWindows Updateが進まない問題を取り上げました。実際のところ、どうなったのか気になりませんか?
2017年4月12日に提供されたWindows Vista向けの更新プログラムについても、幾つかの更新プログラムを先に手動でインストールしておかなければ、Windows Updateが一向に進まないという問題に遭遇しました。
そこで、Windows Vistaユーザーの方に朗報です。毎月のWindows Updateの苦労は、もう終わりました。2017年4月12日までの重要な更新プログラムの全てを適用済みであれば、来月以降はもうWindows Updateが進まないという問題に遭遇することはありません。これは半分冗談です。Windows Vistaを今後も使い続けることは、全くお勧めしません。
サポートが終了したWindows Vistaには、今後、セキュリティ更新を含む更新プログラムは提供されません(画面1)。2017年4月12日に提供されたものが“最後の更新プログラム”になるはずです。また、2014年4月にサポートが終了したWindows XPがそうであったのと同じく、Windowsの新たなセキュリティ問題に関して、Windows Vistaへの影響が公表されることもなくなるでしょう。
マイクロソフトがWindows VistaおよびWindows 7向けに無償で提供しているマルウェア対策ソフトの「Microsoft Security Essentials」ですが、本連載86回の記事で「猶予なく無効化されるかもしれない」と書きました。実際はどうだったかというと、2017年4月11日までは利用できましたが、翌日の4月12日からは無効化されました。日本におけるWindows Vistaの製品サポート終了は時差の関係で12日ですが、Microsoft Security Essentialsの無効化はローカル時間で11日から12日に変わったところでトリガーされたようです。
少し前から、マイクロソフトのTechNetなどのWebサイトに、Windows Vistaの「Internet Explorer 9」からアクセスすると、「2017年4月11日に、Windows Vistaのサポートが終了します。保護を継続する方法を確認してください。」という通知が表示されていました。
4月12日からはこれが「Windows Vistaのサポートは終了しました。保護を継続する方法を確認してください。」に変更されました。また、通知のリンク先の「Windows Vistaのサポートは終了しました」ページでは、Windows Vistaを使い続けることによるセキュリティリスクの増大に関する説明と、Windows 10の通常版の購入や新しいWindows 10 PCの購入を勧める案内になっています。この「Windows Vistaのサポートは終了しました」ページには、Microsoft Security Essentialsについて次のように説明されています(画面3)。
Microsoft Security EssentialsをWindows Vistaでダウンロードすることもできなくなりました。既にMicrosoft Security Essentialsをインストールしている場合は、一定期間、引き続きマルウェア対策のシグネチャの更新が提供されます。
Windows Vistaユーザーの中には4月12日にMicrosoft Security Essentialsが無効化されたことに、“そんな殺生な”“約束が違うじゃないか”“うそつき!”と思っている人がいるかもしれません。筆者が実機で確認してみたところ、「一定期間、引き続きマルウェア対策のシグネチャの更新が提供されます」という説明は、あながちうそではないようなのです。
一方、Windows VistaでMicrosoft Security Essentialsをダウンロードし、インストールすることは現時点では可能です。ただし、インストールが完了した直後にサービスは無効化されてしまいます。
4月12日から数日後にWindows Updateを実行してみたところ、「Definition Update for Windows Defender - KB8915597」の更新が検出されました。ただし、この定義のインストールは、何らかの理由により失敗しました。Microsoft Security EssentialsのUIは「ホーム」タブ以外はグレー表示になっており、手動で更新することはできませんが、Microsoft Security Essentialsのコマンドラインツールである「MpCmdRun」(C:\Program Files\Microsoft Security Client\MpCmdRun.exe)を使って定義ファイルを更新してみたところ、最新に更新されました(画面4)。ただし、Microsoft Security Essentialsのサービス自体が無効になっているため、最新の定義ファイルに更新できたとしても何の役にも立ちません。
Windows Vistaにおいて、Microsoft Security Essentialsはもはや無用の長物です。早急にアンインストールしましょう。Windows Vistaに標準搭載される「Windows Defender」を有効化すれば、こちらはいまのところ定義ファイルの更新を引き続き受信できるようです。
ただし、スパイウェア対策、マルウェア対策、ネットワーク検査システム(NIS)が統合されたWindows 8以降のWindows Defenderとは異なり、Windows Vista(およびWindows 7)に標準搭載されているWindows Defenderはスパイウェア対策機能しか持ちません。Microsoft Security Essentialsを使用していたWindows Vistaユーザーの方は、別のマルウェア対策ソフトを導入するべきですが、それ以前にWindows Vistaを使用しない方法を早急に考えましょう。
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