Windows UpdateとIaaSクラウドは忍耐が試される?山市良のうぃんどうず日記(96)(2/2 ページ)

» 2017年05月30日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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ドキドキが止まらない、クラウド上の仮想マシンで始まる「chkdsk」

 2017年5月の更新では、Windows Server 2016を実行するクラウド上の複数台の仮想マシンがWindows Updateによる更新中に“帰ってこない”状況になりました。もう少し待っていれば、帰ってきたのかもしれません。しかし、何時間も放置しておくのは、課金が心配です。1時間待ったところでリセットしてしまいました。

 リセットした仮想マシンのうち1台では、なんと、起動時の「チェックディスク(chkdisk)」が始まってしまいました(画面6)。

画面6 画面6 クラウド上の仮想マシンで「chkdsk」が始まる。スキップする手段はない

 ローカルコンソールに対話できないので、チェックディスクをスキップする方法はありません。「コンピューターの電源を切らないでください」の指示に従わなかった筆者が悪いのです。チェックディスクって幾つステージがあったかなと考えながら、スクリーンショットを時々更新し、終わるのを祈りました。約1時半かかりましたが、無事生還しました。しかし、Windows Updateの更新プログラムのインストールは、もちろん失敗に終わりました。

Windows 10/Windows Server 2016のWindows Update正常化テク(経験則)

 Windows Updateが失敗し、データベースに不整合が発生すると、その後のWindows Updateの実行も正常に完了しない状態になることがあります。今回、クラウド上でチェックディスクが走った仮想マシンは、そうなりました。どうにかしてWindows Updateを正常な状態に戻さなければ、仮想マシンを作り直すしかなくなります。物理コンピュータであればバックアップからのリストア、バックアップがないなら再インストールです。Windows 10なら「初期状態に戻す」が使えるかもしれません。

 Windows 10またはWindows Server 2016のWindows Updateを正常化したいとき、筆者の場合は、次の一連の操作を行います。この方法で、2017年5月の更新が失敗したコンピュータを全て正常化できました。

Windows Update正常化の手順

 【ステップ1】コントロールパネル(すべてのコントロールパネル項目)の「トラブルシューティング」→「システムとセキュリティ」→「Windows Update」を実行し、問題の修復を試みます。「Windows Updateデータベースにエラーが発生した可能性があります:未解決」の問題が残るかもしれませんが、次に進みます(画面7)。

画面7 画面7 Windows標準のトラブルシューティングツールを使用して、Windows Updateの問題を修復させる。未解決の問題が残っても、残りの手順で解消できるかも

 【ステップ2】コマンドプロンプトを管理者として開き、次のコマンドを実行します。開始するまで数分、完了するまで数十分かかるかもしれませんが、100%完了するまで忍耐強く待ちます(画面8)。

DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth


画面8 画面8 「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」を実行。スタートするまでに数分かかることも。気長に待つこと

 【ステップ3】コマンドプロンプトを管理者として開き、次のコマンドを実行して「C:\Windows\SoftwareDistribution」をクリアし、コンピュータを再起動します。「C:\Windows\SoftwareDistribution」は、次回のWindows Update実行時に自動的に作成されます。

CD C:\Windows
NET STOP BITS
NET STOP WUAUSERV
REN SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
RD SoftwareDistribution.old /S
SHUTDOWN /R /T 0

 SoftwareDistributionのリネームが「アクセスが拒否されました」となった場合は、「NET STOP WUAUSERV」コマンドをもう一度実行してから再チャレンジしてください。「NET STOP WUAUSERV」でサービス(Windows Updateサービス)が停止しない場合は、「サービス」スナップイン(Services.msc)を開いて、Windows Updateサービスのスタートアップを「無効」に変更し、コンピュータの再起動後にSoftwareDistributionをリネームします。その後、「サービス」スナップイン(Services.msc)を開いて、Windows Updateサービスのスタートアップを「手動(トリガー開始)」に戻します。

 【ステップ4】「Microsoft Updateカタログ」(https://www.catalog.update.microsoft.com/)から最新の累積的な更新プログラムのパッケージをダウンロードして、手動でインストールを開始し、こちらも更新プログラムのインストールが完了するまで忍耐強く待ちます。例えば、2017年5月のWindows Server 2016向けであれば、「2017-05 x64ベースシステム用Windows Server 2016の累積更新プログラム(KB4019472)」をダウンロードしてインストールします。更新プログラムのインストールを完了するために再起動を要求されたら、再起動して、完了するまで忍耐強く待ち続けます(画面9)。なお、1つ前の累積的な更新プログラムがインストール済みであることが確実に分かっている場合は、同じKB番号の「差分更新プログラム」でも大丈夫だと思います。

画面9 画面9 ここまでくればもう安心。100%になってログオン画面までくれば完了

 【ステップ5】問題が改善しない場合は、ステップ1〜4を繰り返します。正常化されるまで、忍耐強く待つことがポイントです。

 筆者の環境では、2017年5月の更新のうち、Windows Server 2016向けの累積的な更新プログラム「KB4019472」が失敗するケースが多発しました。失敗しなかった場合でも1時間以上かかることがありましたし、失敗した場合は上記の正常化策でさらに数時間要しました。

 先日、日本マイクロソフトのAzureテクニカルサポートチームのブログで、以下の情報が公開されました。Azure仮想マシンでWindows Updateが失敗する場合は、こちらの影響かもしれません。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


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