Azureは使った分だけ支払う従量制なので、余計なリソースなどを使っていると思わず料金がかさむことがあります。今回はAzureの課金の仕組みについて見てみましょう。
前回は、仮想マシンとそのストレージ(仮想ディスク)の扱いについて解説しました。Azure独自の要素もあるものの、基本的には、物理的なサーバを1台用意して使うのと大きな違いはありませんでした。
しかしAzureと物理マシンで大きく世界観が異なるのは利用料でしょう。ご承知の通り、クラウドのいいところは、ハードウェアを買うなどの初期投資を必要とせず、必要とあればすぐに使い始めたり、さらに必要とあらばスケールを拡大したりすることが簡単にできることです。しかしもちろん、使えば使うだけ使用料がかかります。
ネットなどを見ていると、「クラウド上のサーバを停止し忘れて、予想外に高額な利用料を請求されてしまった」などというコメントがあったりします。手持ちの物理サーバと同じように使う感覚でいると、痛い目を見るかもしれません。
今回はそんなAzureの課金の仕組みについて調べてみましょう。
第1回では、Azureの仮想マシンを1台作成しました。そしてこの1カ月の間、それをほぼずっと動作させ続けてみました。ただし、途中で何度か停止して設定を変更したり、仮想マシンを新規作成して別のテストをしたりするなど、いろいろな機能も試しています。そのため、仮想マシン1台だけがずっと稼働していたわけではありませんが、ほぼそれに近い状態で運用していました。
気になるのはその料金です。Azureは基本的には使った分だけ料金を払う、従量制のサービスです。では、仮想マシンを1カ月間、1台動かし続けるといったい、いくらぐらいになるのでしょうか。
ちなみに、第1回で最初に仮想マシンを作成するときに、「ずっと運用し続けると月間のコストが約1万2142円になる」という試算が提示されていました(「DS1_V2 Standard」という、1CPUコア/メモリ3.5GB構成の仮想マシンの場合)。これは、選択した仮想マシンの課金単位である1分当たりの料金(0.272円)に、1カ月(4万4640分)という稼働時間をかけた金額です。
この試算に対して、実際にいくらかかったのか、原稿執筆時点での料金を示します。仮想マシンを作成してからまだ1カ月経過していないので(これは30日経過後の状態。1カ月にはあと1日足りない)、今月分の正式な請求書にはなっていませんが、現時点での料金などは確認できます(料金ページの内容は1日ずつ更新されます)。
サブスクリプションのリンクをクリックすると、詳細な課金情報を確認できます。
左側の大きな円グラフが画面を表示した時点での課金情報の内訳です。全部合計すると約1万5460円になっています。右側に表示されている緑色のチャートは「バーンレート(Burn Rate)」と言い、料金の累積を表しています。このペースでいくと、1カ月後にいくらぐらいになるか、という大まかな額が分かります
仮想マシン1台だと約1万2000円/月という概算でしたが、今回は途中でストレージや他のマシンを追加するなどの操作をしたため、その分が増えて約1万5460円になっています。最終的には、1万6000円/月程度になりそうです。
たった、あれだけの利用で、い、1万6000円…(しかもほとんど負荷かけてないのに)。この調子で1年間使ったら約20万円か…。え、ええー、だって使っていたのは1コアでメモリ3.5GBのサーバでしょう? VPS(Virtual Private Server)だったら、もっとハイスペックなサーバにWindows Serverをインストールしたって半分以下で済むのでは? などと思ってしまったのは私だけでしょうか……。
というわけで、クラウド初心者にはここで声を大にして言いたい。
ご利用はくれぐれも計画的に、と。
Azureに限りませんが、パブリッククラウドの利用料は、基本的には従量課金です。ですから使わないときはリソースをしっかり止めたり削除したりしないと、どんどん料金が増えてしまいます。特にクラウドの使い始めは慣れないことも多いし、うっかりミスもありがちですので、なるべく小まめに課金管理画面を表示して、予想外に仮想マシンを使っていないか、料金は想定内かを確認しましょう。
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