Microsoftが、データサイエンス用途に特化したWindows Server 2016ベースのAzureカスタムVMイメージを公開。データ解析に用いる各種ツールがプリインストールされ、環境構築の工数削減や高速化、環境の統一化を図れる。
Microsoftは2017年6月6日(米国時間)、データサイエンス用途に特化したWindows Server 2016ベースのAzureカスタムVMイメージ「データサイエンス仮想マシン(以下、DSVM) Windows Server 2016版」を公開した。
DSVMは、Windows Server上で実行され、データ探索、モデリング、開発作業などのデータ分析・解析関連ツールをあらかじめインストールした状態でプロビジョニングできる仮想マシンイメージ。実行OSとして、これまでのWindows Server 2012やLinux(Ubuntu、CentOSベース)に加えて、新たにWindows Server 2016 DatacenterエディションをベースにしたDSVMを用意した。
プリインストールされるツールには、Rフレームワークの「Microsoft R Server Developer Edition」、Pythonディストリビューションの「Anaconda」、Juliaディストリビューションの「JuliaPro」、BIツールの「PowerBI Desktop」、ディープラーニングツールキット「Microsoft Cognitive Toolkit(CNTK 2.0)」など。この他、含まれるツールの一覧はこちらの通り。
DSVMのWindows Server 2016版では、DockerコンテナをサポートするWindows Server 2016がベースになることから、「Windowsコンテナの実行や設計」が可能になる他、Office 365サブスクリプションかOfficeの有効ライセンスを所持していれば、「Office 365 ProPlus」に包括されるMicrosoft ExcelやMicrosoft PowerPointなども利用できるようになった。
また、「GPU搭載」のインスタンス、「CPUのみ」のインスタンスのどちらにも適用できるディープラーニング機能をサポートする。これまでのWindows版DSVMでGPUを活用したディープラーニング機能を使うには、拡張スクリプトを用いて別途インストールする必要があったが、今回リリースされたDSVMには、GPU利用をサポートする「NVIDIAのGPUドライバ」「CUDAツールキット8.0」「cuDNNライブラリ」があらかじめ含まれる。併せて、ディープラーニングフレームワークの「CNTK」「TensorFlow」「MXNet」のGPU対応最新バージョンもプリインストールされる。もちろんこれらはCPUのみのインスタンスでも動作する。
Microsoft R Server 9.1も含まれる。バージョン9.1は前バージョンから、感情分析や画像認識などのコグニティブモデルや、リアルタイムスコアリングやVMの動的スケーリングの機能が改善され、エンタープライズグレードでの機能性が高められている。
MicrosoftはDSVMについて、「時間短縮」「スケーラビリティ」「標準化された作業環境を構築可能」をメリットを挙げる。インストール、構成、メンテナンスを気にせずに、クラウドベースでデータサイエンス専用環境をすぐに用意でき、用途やデータ量などに応じてマシンパフォーマンスを即時調整できること。そして「組織の全ユーザーが、標準化かつ統一された環境で使えること」が、大きな効果をもたらすという。
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