一般企業は、デジタル化の波にどう対応すべきか。アプリケーション開発の側面からいえば、方法論の刷新とアナリティクスの活用が不可欠になってくる。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
企業がデジタルエコノミーの課題に対処するには、企業規模にかかわらず、ビジネスニーズへの対応力を高める必要がある。アプリケーション開発のリーダーにとって、それは品質を犠牲にすることなく、アプリケーションの開発と保守をスピードアップするということだ。IT部門全体としては、リスクを抑えながらより大きな価値をより迅速に提供しなければならない。
「これは大変な課題だが、アプリケーション開発リーダーが進めるアプリケーションの開発や保守を非常に強力にサポートする新しい技術や技法がある」と、Gartnerのリサーチディレクターを務めるマイク・ウェスト氏は語る。
「変化の速いデジタル世界の課題に対応する上で、古いアプリケーション開発方法は足かせになっている。その結果、DevOpsやエンタープライズアジャイルフレームワークの認知や導入が急速に進んでいる」とウェスト氏は付け加える。
アジャイル開発方法論を適用すれば、アプリケーションをより迅速にリリースできる。早い段階でアプリケーションの基本形に限定してリリースし、これが成功していると評価されれば、さらに開発を進めることになる。順調にいけば、新しいバージョンのリリース、評価、開発が繰り返されていく。
この迅速な開発ライフサイクルでは、プロジェクトが成果を出し始めるまでに投入されるリソースが従来に比べて少なくなる。これにより、アプリケーションのライフサイクルリスクが低減されるとともに、アプリケーション開発リソースがビジネスに大きな効果をもたらすプロジェクトに重点的に配分される。
「“アジャイル”は、デジタルビジネスにおける開発課題を乗り越えるために重要だ。だが、インフラ&オペレーションチームと協力して取り組まなければ、アプリケーションを本番で稼働するまでのプロセスを確実に加速することはできない。開発チームとオペレーションチームのコラボレーションを促進するには、DevOpsの実践が極めて重要になる」(ウェスト氏)
アプリケーション開発方法を改善するために取り組むべきもう1つの重要分野が、高度なアナリティクスだ。アナリティクスの2つの主要なタイプである「処方的アナリティクス(prescriptive analytics)」と「予測アナリティクス(predictive analytics)」が、アプリケーション開発および本番のプロセスに急速に導入されている。
高度なアナリティクスを利用することで、アプリケーション開発リーダーはソフトウェアが引き起こす問題の可能性を予測し、適切な領域に重点的に時間を割くよう先手を取ってテストチームを導くことができる。さらに予測アナリティクスは、既存アプリケーションの予測型の保守を可能にする。すなわち、潜在的な欠陥が大きな問題を引き起こす可能性に関する予測が自動的に行われ、アプリケーション開発チームはその結果を受け取って保守に利用できる。
「顧客やユーザーからのフィードバックや、アプリケーションのパフォーマンス統計にアナリティクスを適用すれば、合理的かつ効率的に品質管理を行える。そうなれば、アプリケーション開発チームは、最もビジネス価値を生みそうな仕事に時間をかけられる」(ウェスト氏)
Gartnerは、2020年にはアプリケーションの品質向上やリリースの迅速化を目的に、IT部門の50%が高度なアナリティクスをアプリケーション開発に適用するようになると予想している。全てのアプリケーション開発リーダーとCIOにとって「こうした新しい技術やアプローチによって自社がどのような恩恵を受けるか」を評価する良いタイミングなのは確かだ。
出典:Prepare for Major Shifts in Enterprise Software Development(Smarter with Gartner)
Manager, Public Relations
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