次は、ライセンスの管理機能についてです。「SAMシステム構築推奨機能」では以下の2点にまとめています。
ここについては、ライセンス利用数のカウント方法について重要なポイントを紹介します。
インベントリーツールや台帳ツールのパンフレットには、「管理可能なライセンス」として、「デバイスライセンス」「ユーザーライセンス」「CPUライセンス」「CAL」など、さまざまな種類が記載されています。
しかし、実際に管理機能を確認してみると、本稿の執筆時点(2017年5月現在)では、デバイスライセンス以外、過不足を確認できないものが多いのが実情です。中には「ユーザーライセンスもカウントできる」としている製品もありますが、実際には、例えばボリュームライセンスで開発用ライセンスを50本調達した場合に、それを1本ずつ登録させ、それぞれにユーザーを割り当てる手続きを要求するようなものがあります。
「開発用ライセンスを使用するユーザーが変わるたびに、台帳を更新する」という運用は、使用許諾条件上は登録義務があるとしても、「台帳上も同じように更新する必要がある」とした場合、頻繁に利用者の変わる開発部門にとっては現実的な運用とは言えません。
セカンドライセンスについては、現時点では管理対象に含んでいるものは少ないようですが、これからは管理することが望まれるライセンスだと考えています。
筆者は以前、「システムの対応負荷と管理負荷から費用対効果を考えれば、セカンドライセンスの権利は放棄することも1つの手段である」とお伝えしてきたこともあります。しかしこの考え方が通用したのは、せいぜい3年ほど前までです。
今では1人1台以上のハードウェアを持つことが当たり前になり、セカンドライセンスの権利行使は、コスト最適化の面からも無視できないものになっています。また、「Adobe Creative Cloud」や「Office 365」などのように、ID1つで複数利用できる権利が与えられるクラウドライセンスの一種では、IDの利用状況についても履歴を管理することが求められています。これらのことから、セカンドライセンスの管理は必要不可欠な機能の1つになっています。
ライセンスのカウント方法や使用許諾条件は、年々変わっていくものですので、旧態依然としたデバイスライセンスしかカウントできないような仕組みでは、今後の管理はおぼつかないものとなります。新しいライセンスへの対応方針も含め、それに対応できるか否か、機能を確認することが必要です。
単に「登録可能」なだけの仕組みを「管理可能」な仕組みと言い換えられていないかどうかを十分に確認すること、また、現時点での実装がないとしても、ロードマップを確認し、どの時点でどのような対応を予定しているか確認しておくことが必要です。
管理可能なライセンスについては、「自組織において、ライセンスの保有を重点的に管理すべきソフトウェアは何か」「その利用状況を把握するために、どのような分類やカウントが必要か」を十分に検討した上で、それが実装されている、あるいは実装される予定が明確にあることを確認することが大切です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.