「ライセンスのひも付けがどのように行われるか」も、重要な検討事項の1つです。ライセンスについては、利用しているソフトウェアではなくハードウェアにひも付ける仕組みになっている製品があります。
それは一見問題ないように思われるかもしれませんが、それではライセンスの過剰利用を把握することが難しくなります。
そのような仕組みの場合、「実際にインストールされていないソフトウェアのライセンスが無駄に消費されている」ことを検知することが難しくなります。
これを避けるためには、「SAMシステム構築推奨機能」に記載している通り、ライセンスを、ハードウェアではなく、インストールされているソフトウェアにひも付ける仕組みを持つことが必要です。
また、ライセンスとライセンス媒体をひも付ける際、それが1対1か多対多かを確認しておくことも大切です。例えばダウングレード可能なライセンスの場合、当該ライセンスには複数のダウングレード用の媒体と最新バージョンの媒体をひも付けられることが望まれます。ダウングレードして上位バージョンのライセンスにひも付けたライセンス媒体は、同バージョンのライセンスにもひも付けられることが望まれます。
1対1のひも付けしかできない場合、ライセンスごとにライセンス媒体が必要となり、媒体を無駄にコピーする必要が生じます。
「MSDN(Microsoft Developer Network)」や「JUST Office」などのスイート製品についても、1ライセンスに複数の媒体をひも付ける必要が生じる場合があります。インストールしているソフトウェアによって、利用する媒体が異なることもあるため、インストールしているソフトウェアに合わせて、ライセンス媒体をひも付けることも望まれるからです。
以上、SAMシステムの重要ポイントについて、特に必要と思われる機能について説明してきましたが、考えていただきたい順番は以下の通りです。
1.必要な機能を考える
2.必要な機能が実装されているか、実用可能な機能かを確認する
3.機能がない場合、今後の製品ロードマップで、必要な機能が実装されるかを確認する
4.3が受け入れ可能な場合は、それまでの代替手段を考える、あるいは(カスタマイズ以外の)代替手段を提案してもらう
そもそもロードマップもないようであれば、カスタマイズはやむなしですが、まずはカスタマイズしないでどこまでできるかを考えることが重要です。
なお、今回はSAMシステム(インベントリーツール+台帳ツール)を調達する際のチェックポイントをまとめたExcelシート「SAMシステムチェックリスト」を添付します。よろしければ、ご利用ください。
最終回となる次回は、仮想環境管理とクラウドID管理の具体的な管理項目の持ち方についてお伝えしたいと思います。
篠田 仁太郎(しのだ じんたろう)
日本におけるIT資産管理、ソフトウエア資産管理のトップコンサルタント。株式会社クロスビート代表取締役/(財)日本情報経済社会推進協会 IT資産管理評価検討委員会 委員長/(社)ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)事務局長/情報規格調査会 SC7 Class Cリエゾン SAMAC代表
一般社団法人 ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)
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