Cisco Systemsは2017年6月27日(米国時間)、同社のイベント「Cisco Live 2017」で、IoTプラットフォーム「Cisco Kinetic」を発表した。接続管理に加え、フォグコンピューティングにも対応、複数階層で構成されるIoTシステムのためのデータ管理ができる。
Cisco Systemsは2017年6月27日(米国時間)、同社のイベント「Cisco Live 2017」で、IoT(Internet of Things)プラットフォーム「Cisco Kinetic」を発表した。
「IoTプラットフォーム」と称する製品/サービスは多種多様だが、Ciscoの製品は接続管理に加え、複数階層にも対応するデータ管理機能を提供するのが特徴。エッジ、フォグコンピューティング(Fog Computing)/中間層でのデータ変換作業やデータ送信条件、項目、送信先などを、ルールエンジンにより容易に制御し、インターネット/ネットワーク送信するデータを絞ったり、必要な時だけ送信したりできる。
また、携帯電話網を使うIoTデバイスを管理する「Cisco Jasper Control Center」も新バージョン7.0がリリース。セキュリティ機能の強化が図られている(後述)。
Ciscoが買収したJasperのCEOで、現在IoT/Cloudのゼネラルマネージャーを務めるジャハンギア・モハメッド氏は、Kineticが「ブラックボックスを目指している」と表現する。「CEOは技術の詳細を知りたいとは思っていない。ビジネス上の成果を求めている」。このため、「ルール」を通じ、ビジネスにより近い形でセキュリティが確保されたIoTシステムを作れるようにしている。
Kineticではまず、IT/OTネットワーク(携帯電話網以外)で接続されるシスコのIoTゲートウェイ/ルーターなどの接続管理を行う。バーコードの利用により、各ゲートウェイの識別および接続認証を含む設置作業は自動化される。ファームウェアやアプリケーションのアップデートも遠隔で半自動的に行える。
その上で、ゲートウェイや中間層が取得したデータにルールを適用、データの正規化やフィルタリング、送信条件および送信先の設定などができる。
例えば、機械が一定温度以上になったときのみIoTゲートウェイがデータを送信する、センサーから受け取ったデータの正規化を行ってから送信する、ネットワークがダウンしている間はデータをバッファリングしておき、良好な通信ができるようになった時点で送信する、特定の間隔あるいは日時に送信する、データの内容によって送信先を変える、などができる。
IoTデータはIoTゲートウェイ/ルーター、スイッチ、サーバなど、任意の場所で可視化でき、このため「Kineticだけでもビジネス上の成果を得ることができる」とモハメッド氏はいう。一方でIoTゲートウェイをデプロイした後でも、パブリッククラウドサービスなど、任意にデータ送信先を設定したり、変更したりできる。
IoTでCiscoは、Jasper Control Centerという製品を既に展開している。これは携帯電話網を通じて接続される、自動車をはじめとしたIoTデバイスの接続管理を担うもの。SIMの管理を含む通信管理がグローバルに行える。同製品はモバイル通信サービス事業者を通じて販売されている。
Kineticとの関係では、Jasper Control Centerが携帯通信網を使う場合の接続管理を行い、Kineticがデータに関わる制御・管理を行うという役割分担で併用できるという。
Jasper Control Centerの新バージョン7.0では、端末のグルーピングによるネットワークのセグメント分割や、DNSを使った通信フィルタリング/マルウェア対策を提供する「Cisco Umbrella」との統合が実現し、セキュリティを強化。また、NB-IoT、LTE-Mに対応した。
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