Amazonはこれまで、Amazon EchoシリーズをAmazon Prime会員へ優先販売するケースが多かった。また、Amazon PrimeにはPrime Musicという無料の音楽サービスがあり、さらに有償のAmazon Music Unlimitedについては、Echoユーザーに対して特別ディスカウントプログラムを提供してきた。こうしたPrime会員向けの利用促進策が成功しているとも考えられる。Amazonにとっては、(この調査が正しければ)直接的な売り上げ向上にはつながらないものの、Prime会員の引き留めに役立っていると解釈できる。
ただし、この調査が正しいとすると、音楽、ニュース、そして(今後への期待を込めて)スマートホームを除くと、あまり目立った使い方がないという言い方もできてしまう。
音楽について言えば、それ自体が大きな市場だ。つまり、米国では「ホームシアターシステム」「ホームサウンドシステム」が市場として確立している。実際、毎年1月に米ラスベガスで開催されてきた「Consumer Electronics Show(CES)」では、スマートフォンやAIが注目を集める前、こうした製品のベンダーが大きな存在感を示していた。
そこで、Amazon EchoやGoogle Homeは今、この市場を狙い、家庭内の複数の部屋への展開を進めていると考えられる。Amazonが2016年3月に投入したコンパクトな機種の「Amazon Echo Dot」や、Google Home Miniは、ベッドルームなど部屋ごとに設置し、ホームサウンドシステムとして利用することを想定した機種ともいえる。
Amazonはさらに、「Amazon Echo Show」ではキッチンなどに置いて動画や音声/ビデオ通話を楽しみたい人々、「Amazon Echo Look」ではファッションに興味のある若い世代を狙う、といった、多様な利用シーンおよびペルソナへの展開を始めている。
Amazon Echoシリーズについては、これをプラットフォームとしたサードパーティーアプリの「Alexa Skill(以下、Alexaスキル)」が、2017年の早い段階で1万件を超えたことが話題になった。Amazonは、これまで、Amazonスキルの開発を促進するため、商品購入に使えるクレジットを提供するなどの対策を進めてきた。「1万超え」は、その努力が実った結果ともいえる。
だが、ユーザーにとって魅力のあるAlexaスキルは少ないのが実情だ。
前述の音声アプリ向け解析サービスなどを提供するVoiceLabsも、2017年1月時点で、7000のAlexaスキルのうち1件以上のレビューが付いているものは31%しかないと述べている。また、多くのAlexa Skill開発者が、マネタイズも含めて模索している段階だとしている。
このように、スマートスピーカーは大きな話題にはなっているが、順風満帆というわけではない。第2回では、Google Homeの日本語対応版を試し、その実力を探る。
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