NVIDIAは、自動運転車向けの強力な新型AIコンピュータ「DRIVE PX Pegasus」や、そのデザイナー向けのVRプラットフォーム「Holodeck」の新展開など、さまざまな発表を行った。
NVIDIAの創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏は2017年10月10日(現地時間)、ドイツのミュンヘンで開催中の「GPU Technology Conference」(GTC)で講演し、自動運転車向けの強力な新型AI(人工知能)コンピュータや、製品デザイナー向けのVR(仮想現実)プラットフォームの新展開など、さまざまな発表を行った。
フアン氏は、自動運転車向けAIコンピュータプラットフォーム「NVIDIA DRIVE PX」の最新モデル「Pegasus」(開発コード名)を発表した。
Pegasusは、ドライバーが不要となるレベル5の完全自動運転車(ロボットタクシーなど)を実現できるように設計されている。
完全自動運転車はコンピューティング処理要件が膨大で、それらを満たすとともに複数レベルの冗長性を確保し、最高レベルの安全性を実現する必要がある。コンピューティング要件は現在の最先端の自動車と比べて50〜100倍厳しいと見られている。
DRIVE PX Pegasusはナンバープレート程度のサイズで、完全な運転の自動化となる「レベル5の自動運転」を実現する自動車の試作品で使われているコンピューティング機器全体を置き換えることができる。320TOPS(兆演算/秒)の処理能力を備え、サーバ100台のデータセンター並みのAIパフォーマンスを発揮するという。
フアン氏は、NVIDIAのインテリジェントVRプラットフォーム「Holodeck」のアーリーアクセスプログラムも発表した。NVIDIAは2017年5月開催のGTCで、HolodeckベースのVR設計アプリケーションを発表している。
Holodeckは、物理シミュレートされた非常にリアルなコラボレーション用VR環境に自動車をはじめとする製品デザイナー、開発者、顧客が世界のどこからでも参加し、イメージを共有して共同作業を行えるという。
アーリーアクセスプログラムはHolodeckのWebページから申し込める。
フアン氏はNVIDIAが、ドライバーを支援する自社のAIコパイロット技術向けのSDK「NVIDIA DRIVE IX」をリリースすることを明らかにした。
DRIVE IXは、AIに車内外のカメラやマイクからのセンサーデータを理解させ、車をアンロックする顔認識や、ドライバーの集中状態をチェックするための視線追跡といった新機能を実現できるという。
NVIDIAは、世界最大の郵便および物流企業であるDeutsche Post DHLと、自動車部品の世界大手ZF Friedrichshafenが協力し、自動配送トラックの試験運用を2018年から開始することを発表した。
Deutsche Post DHLは、DRIVE PXをベースにしたZFの自動運転システム「ZF ProAI」を自社のトラックに搭載し、このトラックで“ラストワンマイル”(事業所や住宅への配送)を含む荷物配送を行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.