Microsoftは、「Windows 10 Fall Creators Update SDK」のダウンロード配布を開始した。「Visual Studio 2017」の最新版「バージョン15.4」と組み合わせて使うことで、Windows 10 Fall Creators Updateの最新ツールとAPIを活用できる。
Microsoftは2017年10月10日(米国時間)、「Windows 10 Fall Creators Update SDK」のダウンロード配布を開始した。
同SDKは、2017年10月17日に正式リリースされるWindows 10のメジャーアップデート「Windows 10 Fall Creators Update」に対応したアプリケーションを開発するための最新のヘッダ、ライブラリ、メタデータ、ツールを提供する。
2017年10月9日にリリースされた統合開発環境「Visual Studio 2017」の最新版「バージョン15.4」に含まれており、そのインストーラでユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)開発ワークストリームを有効にすると、同SDKもインストールされる。
Windows 10 Fall Creators Update SDKをVisual Studio 2017 バージョン15.4と組み合わせて使うことで、Windows 10 Fall Creators Updateが提供する最新ツールとAPIを活用できるようになる。
Microsoftは、Windows 10 Fall Creators Update SDKによって開発者は、「Mixed Reality」(複合現実)を利用したユーザーエクスペリエンス(UX)の実現や、アプリケーションのモダナイズ(近代化)、「Fluent Design System」への対応、デバイスのリレーやアクティビティーフィードの活用が可能になると述べている。
Microsoftは、Mixed Realityを「コンピューティングにおける次の革命」と位置付けており、Mixed Realityを形成する拡張現実(AR)と仮想現実(VR)、そしてその中間にあるテクノロジー全てに対応している企業はMicrosoftのみであると強調している。
デジタルと現実を融合し、没入感のある豊かな世界を実現する「Windows Mixed Reality」は開発者に、以下のようなユニークな機会をもたらすとMicrosoftは説明している。
Windows 10 Fall Creators Update SDKにより、開発者はモダンなUXを提供する新たなアプリケーションの開発や、既存アプリケーションの更新を簡単に行えるようになる。
例えば、Windows 10におけるデプロイシステムの改良のおかげで、開発者はユーザーがアプリケーションの更新時にパッケージ全体ではなく、差分だけをダウンロードして適用すれば済むような仕組みを構築できるようになった。また、アプリケーションのコンポーネント化とインストールのストリーミング機能によって、ユーザーはアプリケーション全体をインストールする前に、アプリケーションを使い始められるようになった。
Windows 10 Fall Creators Updateでこのようなアプリケーションのモダナイズを支援するため、Visual Studio 2017 バージョン15.4では「Windowsアプリケーションパッケージングプロジェクト」が導入された。これにより、開発者は既存のインストーラを変更することなく、アプリケーションパッケージングを利用できる。
アプリケーションがモダナイズされたインストーラを使うようになると、Windowsプラットフォームに追加された全てのAPIにアクセスできるようになる。例えば、「Windows Hello」との統合によるセキュリティ強化の支援や、アクションセンターの統合によるエンゲージメント、デバイスリレーとアクティビティーフィードで提供されるクロスデバイス機能などが提供可能になる。
また、.NET Standard 2.0との統合により、Visual Studioでは、プラットフォーム間やデバイス間でのコードの再利用が行えるようになった。さらに、.NETベースのさまざまなオープンソースライブラリの統合が可能になった。
Windows 10 Fall Creators Updateで採用される「Fluent Design System」は、あらゆるデバイスにおいて、動き、見た目、操作体系などを共通化することを目指したUI(ユーザーインタフェース)の仕組みだ。
Windows 10 Fall Creators Updateでは、Fluent Designアプリケーションを作成するためのUXビルディングブロック、ガイドライン、サンプル、ツールが提供される。UXビルディングブロックの特徴的なものとしては、ナビゲーションビュー(コントロール)、アクリル素材(スタイル)、表示(照明効果)、接続型アニメーション(ナビゲーション)、ジェスチャアクション(入力)などがある。
デバイスリレーとアクティビティーフィードは、アプリケーション、デバイス、プラットフォームをまたいだユーザーエンゲージメントを促進する。デバイスリレーは、ユーザーが現在行っている作業を、デバイスを切り替えても続行できるようにする。これは、Remote SystemsおよびRemote Sessions APIを使って実現される。Remote Systems APIは、Windows、Android、iOSのデバイスで切り替えられる。
アクティビティーフィードは、ユーザーが過去に行っていたアクティビティーを呼び出して、再度継続することを可能にし、過去の時点でのファイルやアプリケーション、Webサイトに戻ることができる。この機能はUserActivity APIを使って実現される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.