Windows 10 Fall Creators Update、「ペイント」の行方よりも、あの「電卓」を返して!山市良のうぃんどうず日記(101)(1/2 ページ)

MicrosoftがWindows 10 Fall Creators Updateから削除予定の機能のリストを公開したことで、“ペイント(Mspaint.exe)がなくなっちゃうの?”と、多くのWindows 10ユーザーがざわついているようですが、そんなに大騒ぎすることではないようですよ。

» 2017年07月31日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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「削除された機能/推奨されなくなった機能」リストはリストラ対象リスト?

 Microsoftは2017年7月25日に「Features that are removed or deprecated in Windows 10 Fall Creators Update(Windows 10 Fall Creators Updateで削除された機能または推奨されなくなった機能)」というサポート技術情報を公開しました。2017年9月ごろに予定されているWindows 10の次のバージョン「Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)」で削除される機能と、将来のバージョンで廃止される可能性があるために非推奨となる機能のリストです。

 “ペイントが消える?”というようなタイトルでIT系メディアが取り上げ、話題になっていますが、記事を書いた人がこのリストの他の項目について十分な知識を持ち合わせていないため、分かりやすい「ペイント」が記事の中心になってしまっているような気がします。

 あたかも“リストラ対象機能の候補リスト”のようなものが突然公開され、びっくりした人もいるかもしれません。しかし、Microsoftがこのようなリストを公開するのは、特別なことではありません。

 Windows 7以降は、同様のリストが事前に(プレビュー段階から)公開されてきましたし、公開後に内容が更新されることもありました。ただ、Windows 8以降はWindows Serverのリストに含まれる形になったため、リストの存在に気が付かなかった人も多いでしょう。

 例えば、Windows 8.1からは「バックアップと復元(Windows 7)」機能が削除されましたが(その後、Windows 10で復活しています)、これは「Windows Server 2012 R2から削除された機能」としてリストに掲載されています。Windows Serverにはもともと「バックアップと復元(Windows 7)」は存在しません。Windows Serverには「Windows Serverバックアップ」があり、この機能が削除されたことはありません。

 Windows 10 Fall Creators Updateでは「Microsoft Paint」つまり「ペイント(Mspaint.exe)」が推奨されない機能となりました。これは、Windows 10 Fall Creators Updateで削除されるわけではなく、その次のバージョン(バージョン1803)、またはそれ以降のバージョンで“削除される可能性がある”ので、それまでに別の方法(「ペイント3D」など)に慣れておいてね、ということです。

 Windows 10 Creators Updateでは「ペイント3D」というストア(UWP:ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリが提供されましたが、従来のペイントも引き続き利用可能です(画面1)。リストには、Windowsストアで利用可能になる可能性についても記載されています。それがWindows 10 Fall Creators Updateからなのか、削除されて以降の話なのかははっきりしません。いずれにしろ、Windows 10 Fall Creators Updateでも従来のペイントは引き続き使えるはずです。

画面1 画面1 Windows 10 Creators Updateの「ペイント3D」アプリと従来の「ペイント(Mspaint.exe)」。次のバージョンでも両方使えるはず

 ペイントの今後について明らかになったことは、リストラ対象として突然発表されたというよりも、心構えのために事前に教えてくれたと捉えています。筆者にとってはWindows 10で従来の「電卓(Calc.exe)」が、ビルトインのストアアプリに変更されてしまったことの方が衝撃的でした(画面2)。

画面2 画面2 Windows 10の「電卓」アプリ。「calc」コマンドを実行しても、このアプリが起動する。従来の電卓(calc.exe)は提供されない

 素早く起動できて、シンプルかつ軽量な従来のWin32アプリ版電卓に比べると、Windows 10の「電卓」アプリは起動に時間がかかるし、使い難いという印象です(筆者の個人的な感想です)。Windows Server 2016では従来の電卓が利用できるので、筆者は実行中のWindows Server 2016がある場合はそちらで電卓を使っていますし、机上の物理的な電卓を使うようにもなりました(画面3)。残念ながら、Windows 10の「電卓」アプリはめったに使いません。

画面3 画面3 Windows Server 2016やWindows 10 Enterprise LTSBなど、ビルトインのストアアプリが提供されない環境では、従来のWin32アプリ版の電卓が提供される

削除/非推奨機能リストはWindows 10 Creators Updateから公開されていた

 Windows 7やWindows 8.1と比較して、Windows 10から削除される機能については、Windows 10のシステム要件のページに説明されていました。

 Windows 10の新しいバージョンから削除された機能/推奨されなくなった機能リストの公開は、今回のWindows 10 Fall Creators Updateのものが初めてではなく、Windows 10 Creators Updateからでした。Windows 10 Creators Updateの時点で推奨されなくなった機能の多くが、Windows 10 Fall Creators Updateで削除された機能になっていることが分かります。また、Windows 10 Creators Updateの時点で推奨されなくなった機能としてピックアップされていなくても、Windows 10 Fall Creators Updateからいきなり削除というものもあります。

 Windows 10 Creators Updateから削除された機能の中で、筆者が注目したいのは「Interactive Service Detection Service(UI0Detectサービス)」です。実際には、Windows 10 Creators Updateから、このサービスは削除されていません(画面4)。

画面4 画面4 Windows 10 Creators Updateから「Interactive Service Detection Service(UI0Detectサービス)」は削除されていないが、削除されたという扱いに。筆者が遭遇した対話型サービスのセッションでキーボードやマウスを使えないという問題は解決されないことに

 Windows 10のUI0Detectサービスについては、本連載第89回に正常に動かないのではという疑惑をお伝えしました。筆者のフィードバック(本連載ではなく、Windows 10の正規のフィードバックルート)が反映された結果なのかどうかは分かりませんが、“バグがあったけど、削除したことにしちゃおう”と簡単にあしらわれた感じがしてなりません(筆者の個人的な感想です)。

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