NTTコミュニケーションズは2018年1月15日、AI(人工知能)を使った企業向け自動翻訳サービス「AI翻訳プラットフォームソリューション(以下、AI翻訳PF)」を発表した。ニューラル機械翻訳(NMT)を使った翻訳エンジン「COTOHA Translator」を活用し、元の文書フォーマットを変えずに翻訳が可能だ。
NTTコミュニケーションズは2018年1月15日、AI(人工知能)を使った企業向け自動翻訳サービス「AI翻訳プラットフォームソリューション(以下、AI翻訳PF)」を、日英対訳を対象に、同年3月1日に提供開始すると発表した。
同ソリューションは、ニューラル機械翻訳(NMT)(注)を使った翻訳エンジン「COTOHA Translator」を活用することで、企業で使われる文書を、精度の高い日本語、英語に数分で翻訳する。Microsoft OfficeやPDF、テキストファイルなどの文書を、全く同じフォーマットやレイアウトで出力可能だ。
注:Neural Machine Translationの略。ニューラルネットワークを活用することで、文書全体の意味を理解した翻訳を行う。
基本的に、AI翻訳PFは、全顧客共通の学習エンジンを使って翻訳学習や翻訳サービス提供を続けるが、NTTコミュニケーションズは、企業のニーズに応じて専用の翻訳学習エンジンやオンプレミス環境向けのサービス提供も行う考えだ。
同社によれば、「日本語の情報を、リアルタイムで英語で配信したい」という企業の依頼を受け、2017年1月に統計翻訳技術を使った同製品のβ版をリリースしたところ、外資系企業から予想外の反響が集まったことが、本格的な製品開発のきっかけになった。
「そうした企業は、英語の社内文書を頻繁に扱うため、精度が高く安全な翻訳サービスを求めていた。社員の時間を社内文書の翻訳に割かなければならない他、社員がしばしば機密性の高い文書を安全性の低いオンラインの無料翻訳サービスで翻訳してしまう課題を抱えていたためだ」と、同社のAI推進室担当部長、小川貴弘氏は語る。
NMTを使った翻訳のメリットについて、同社AI推進室担当課長の戸田晋行氏は、「従来の技術とは違い、文章全体の意味を理解した上で、自然な訳文を考える、いわば人間が行うレベルの翻訳を人間の数百倍の速度で実行する」と語る。
AI翻訳PF開発に当たり、NTTコミュニケーションズでは、社内外から厳選した大量の文章を英日対訳式で翻訳エンジンに読み込ませ、不自然な言葉遣いはその都度エンジニアが修正する教師あり学習を行った。
小川氏は、「プレゼンテーションやマニュアルなど、これまで社員が行うしかなかった翻訳作業を(同製品が)代行することで、外資系企業や外国人従業員を抱える企業に働き方改革を起こせるのではないか」と語る。
NTTコミュニケーションズは今後、多様な文章を対象にCOTOHA Translatorを使った学習を進め、中国語など他言語を対象にした翻訳サービスの提供を予定している。また、ARや音声認識といった他のテクノロジーとの連携も進めたい考えだ。
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