経済産業省は、東芝テックや日本マイクロソフトなど30の企業、団体の参加を受け、「電子レシートおよびAPI」の標準化に向けた「電子レシート」の標準化に向けた実証実験を東京都町田市で実施する。店舗での購買履歴を電子データとしてクラウドに保管することで、消費者は、レシート情報をスマートフォンのアプリで確認でき、店舗は、異なる店舗にまたがった購買情報をビッグデータとして活用できる。
経済産業省は2018年1月31日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と行う「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」の一環として、日本マイクロソフトなど30の企業、団体の参加を受け、「電子レシートおよびAPI」の標準化に向けた「電子レシートの標準データフォーマットおよびAPI」に対応した「電子レシートプラットフォーム」の実証実験を、同年2月13〜28日に東京都町田市で実施すると発表した。
電子レシートとは、個人の購買履歴を表す電子データ。通常は紙で提供される買い上げ商品の明細を、電子レシートセンターがデータとして預かる。消費者は、自分のスマートフォンでレシート内容を確認できる。
今回の実証実験では、町田市の飲食店、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、業種業態の異なる27店舗に電子レシートを導入。購買情報の提供に同意した消費者に、標準フォーマット・標準APIを利用した電子レシートを配布し、希望に応じて家計簿アプリケーションなどのサービスなどを利用可能にする。
従来の電子レシートシステムは、POSレジメーカーごとに個別に開発されており、活用には専用アプリケーションが必要だった。標準データフォーマットを採用すれば、店舗に導入されているPOSレジのメーカーにかかわらず、一般の家計簿ソフトなどでデータを管理できるようになる。店舗側とって、電子レシートは、店舗の枠を超えて個人の消費傾向を調べるビッグデータとして、商品開発やサービス提供に活用可能だ。
今回の実証実験では、東芝テックの電子レシートシステム「スマートレシート」に標準データフォーマットとAPIを実装したシステムを活用。同実験に参加する日本マイクロソフトによれば、電子レシートの標準仕様には、同社が代表幹事を務める「.NET流通システム協議会」が策定した電子レシート標準データフォーマットとAPIが採用された。
さらに、気象データや実店舗のセンサーデータといったIoTデータを、Microsoftのクラウドサービス「Azure IoTHub」を使用して収集し、電子レシートデータと組み合わせて分析できるようにする。
今回の実証実験には、複数の企業が技術提供を行う。NTTデータCCSは、マネーフォワードや大日本印刷と協業し、家計簿アプリの関連サービスに電子レシートデータを連携させる予定だ。また、LINEや日本ユニシスと協業し、「店内カメラと連動した詳細な購買行動履歴をAI(人工知能)で解析することで、ニーズを掘り起こす」いった新たなサービスにも取り組む。
経済産業省は、同実証実験について、「さまざまな業態の店舗から標準仕様の電子レシートを発行し、個人の了解の下でアプリケーションにつなげることで、個人を起点に購買履歴データを活用できる環境整備を進める」としている。
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