ビジネス向けMicrosoft Storeでは、通常のライセンスモデル(オンラインライセンス)とは異なる「オフラインライセンス」を取得して、アプリのパッケージおよび関連ファイルをダウンロードすることもできます(画面6)。
オフラインライセンスは、Microsoft Storeやプライベートストアにアクセスできないクライアント(ローカルアカウントのみを使用、インターネット接続の制限など)にアプリをインストールする手段を提供します。
ダウンロードしたファイルは「Windows 10の展開用イメージ」に組み込んだり、本連載第16回で説明した「プロビジョニングパッケージ」にアプリのインストールを含めたりすることができます。Microsoft Intune、System Center Configuration Manager、その他のソフトウェア配布ツールを利用して配布することも可能です。
ビジネス向けMicrosoft Storeでは、Microsoft Storeから取得可能なアプリの管理に加えて、以下の機能があります。
自社で開発したサイドローディングの業務(LOB)アプリは、ビジネス向けMicrosoft Storeにアップロードし、プライベートストアを通じてクライアントに配布できます。
「デバイスガード」用の署名ポータルは、本連載第10回で説明した「デバイスガード(Device Guard)」で使用するコードの整合性ポリシーとカタログファイルに、コード署名を行う機能を提供します(Windows 10 バージョン1709では、デバイスガードおよびコードの整合性ポリシーを「Windows Defenderアプリケーション制御」と呼ぶようになりました)。
デバイスガードを企業内に展開するには、「コードの整合性ポリシー」や「カタログファイル」(署名されていないアプリケーションをコードの整合性ポリシーに追加するためのもの)を作成し、改ざんできないようにコード署名した上で、グループポリシーでコードの整合性ポリシーをクライアントに配布します。
ビジネス向けMicrosoft Storeを使用すると、未署名のコード整合性ポリシーに署名できます。また、署名済みのコードの整合性ポリシーとその署名のルート証明機関(CA)の証明書を、ポータルからダウンロードすることができます(画面7)。つまり、企業内にエンタープライズ公開キー基盤(PKI)を導入したり、パブリックなCAからコード署名のための証明書を購入したりする必要がありません。
Windows 10 バージョン1703から実装されている「Windows AutoPilot」については、本連載第16回で説明しました。ビジネス向けMicrosoft Storeを使用すると、事前に登録したコンピュータに対して適用するWindows AutoPilotのポリシー(プロフィール)を作成し、適用することができます(画面8)。
なお、デバイスの登録には、デバイスシリアル番号、WindowsプロダクトID、ハードウェアハッシュを含むCSVファイルのアップロードが必要です。このCSVファイルは、PowerShell Galleryで公開されている「Get-WindowsAutoPilotInfo」を使用して生成することができます。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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