Gartnerによると、2018年における世界のデバイス(PC、タブレット、携帯電話)出荷台数は1.3%増の22.9億台となり、2017年の3%減からプラス成長に戻る見通しだ。
Gartnerは2018年4月5日(米国時間)、世界のデバイス(PC、タブレット、携帯電話)市場動向予測を発表した。世界のデバイス出荷台数は2017年には前年比で3%減少し、22.6億台となったが、2018年はプラス成長(1.3%増)に戻り、22.9億台に達する見通しだ。
デバイスの出荷台数は年によって増減するが、デバイス売上高は継続的に増加しており、2018年の売上高は7%増加すると予想されている。Gartnerのリサーチディレクターを務めるランジット・アトワル氏は「コストが増えているが、仕様も良くなっており、2017年のデバイスの平均販売単価は9.1%上昇した。この傾向は2018年も続き、われわれは価格が5.6%上がると予想している」と語る。
2018年のPC価格は4.6%の上昇が予想されている。企業の需要が下支えするものの、従来型PCの出荷台数は2018年が3.9%減、2019年も3.6%減となる見通しだ。
デバイスタイプ | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
---|---|---|---|---|
従来型PC(デスクトップ型、ノート型) | 220 | 204 | 196 | 189 |
ウルトラモバイル(プレミアム) | 50 | 58 | 67 | 77 |
PC市場 | 270 | 263 | 263 | 266 |
ウルトラモバイル(ベーシックおよびユーティリティー) | 169 | 158 | 159 | 159 |
コンピューティングデバイス市場 | 439 | 420 | 422 | 425 |
携帯電話 | 1893 | 1841 | 1870 | 1892 |
デバイス市場全体 | 2332 | 2262 | 2292 | 2317 |
出典:Gartner(April 2018) |
景気変動がデバイス需要に与える影響は地域によってさまざまに異なる。アルゼンチン、ブラジル、日本、ロシアの合計では、2013〜2017年にデバイスの出荷台数が25%近く減少している。
「市場の回復ペースは地域によってまちまちだ。こうした国々でも、現在はほとんどのデバイスタイプで出荷が伸びている」(アトワル氏)
だが、深刻な景気悪化に苦しんできた国では、全てのデバイスタイプで、買い替えサイクルが長期化したままとなっている傾向がある。
「その結果、こうした国では市場が回復しても、出荷台数がなかなか元の水準に戻らない。2022年時点でも、過去のピーク時の70%程度にしか達しないと予想される国もある」(アトワル氏)
Gartnerは、2018年における世界の携帯電話出荷台数を前年比1.6%増の18.7億台と予想している。2019年はスマートフォンの出荷が5%増える見通しだという。
さらにGartnerは、全体的に、2017〜2020年に携帯電話の買い替えサイクルが長期化すると予想している。「短期的には、プレミアムスマートフォンの買い替えサイクルが他のデバイスタイプと比べて最も延びるだろう。インパクトのある新技術が出てきていないので、ユーザーがこうしたデバイスを使い続けようとするからだ」と、Gartnerのリサーチディレクターを務めるアンシュル・グプタ氏は指摘する。
だが、2020年以降は、携帯電話の買い替えサイクルは短くなっていきそうだ。
「2020年のスマートフォンでは、人工知能(AI)機能の進化により、よりインテリジェントなデジタルペルソナ機能が提供されるようになる。機械学習やバイオメトリクスによって、ユーザー行動を踏まえたカスタマイズが行われ、使い勝手やセルフサービス機能が向上し、認証ももっと楽になるだろう。これによってスマートフォンは、クレジットカード、パスポート、IDといった他の資格情報よりも信頼できるものになる」(グプタ氏)
自然言語処理や機械知覚(全てのセンサーを読み取る)など、将来のAI機能により、スマートフォンはユーザーのために学習、計画し、問題を解決できるようになると、グプタ氏は見る。「スマートフォンはよりスマートになるだけではなく、ユーザーの認知負担を軽減したり、ユーザーのデジタル活動を代行したりすることで、ユーザーの能力を拡張するようになるだろう」
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