クラウドとタブレットで学校をサーバレスに――小金井市とNTT Comら、総務省「次世代学校ICT環境」の整備に向けた実証に参画

東京都小金井市、NTTコミュニケーションズ、凸版印刷、コードタクト、eboardが、総務省の「『次世代学校ICT環境』の整備に向けた実証」に参画。クラウドと低価格タブレットの導入により、整備コストの削減や教職員の運用負担の軽減などを目的とした実証に取り組む。

» 2018年04月12日 19時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 東京都小金井市教育委員会とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、凸版印刷、コードタクト、eboardは2018年4月11日、2018年4月から小金井市立前原小学校と市立南中学校を対象に、クラウドと低価格タブレットを活用した授業を開始すると発表した。

 この取り組みは、総務省の「『次世代学校ICT環境』の整備に向けた実証」に参画して実施するもの。総務省では、学校ICT環境の在り方について、「ネットワーク円滑化モデル」「コスト軽減モデル」「先端技術(EdTech)活用モデル」の3モデルによる実証を推進している。今回、小金井市と4社は、学校ICT環境に関する財政負担の軽減や教職員の運用負担の軽減を目的とした「コスト軽減モデル」の実証に取り組み、検証効果やノウハウを小金井市の全小中学校へ展開するとしている。

 総務省の「平成26年度 クラウド等の最先端情報通信技術を活用した学習・教育システムに関する実証」によると、学校教育におけるICT環境の整備コストのうち、児童・生徒に配布するタブレットなどの情報端末の整備や校内に設置するデジタル教材用サーバの保守・運用コストは、全体の65%を占めているという。一方、その予算は各自治体の負担となり、メンテナンスや運用面では教員に負担がかかる。

Photo 「コスト軽減モデル」の実証イメージ

 そうした状況を踏まえ、今回取り組むコスト軽減モデルの実証では、クラウドサービスの活用による校内サーバレス化を実施する。NTT Comが提供する教育クラウドプラットフォームサービス「まなびポケット」上から、凸版印刷、コードタクト、eboardが提供するデジタル教材を利用し、タブレットを活用した授業を行う。これにより、現在、各学校に設置している教材配信用サーバを不要にし、その導入コストや外部に委託している運用・保守コストを30%軽減することを目指す。

 また、Googleの「Chromebook」を自治体予算で全校導入するとともに、再利用端末を併用することで、全ての児童・生徒が情報端末を利用できる環境を整備する。Chromebookは比較的低価格であることに加え、資料作成やデータ保管に、Googleの教育機関向け「G Suite for Education」や「Googleドライブ」を無償で利用できることから、従来の端末と比べて導入・運用コストを40%軽減することを目指すとしている。

 実証には、前原小学校と南中学校の児童・生徒905人、教職員54人が参加する。小金井市が実証の企画、運営を担当する他、NTT Comは、まなびポケットの提供とプロジェクトマネジメント、効果測定を担当。デジタル教材として、凸版印刷は個別学習支援システム「やるKey」、コードタクトは授業支援システム「スクールタクト」、eboardは個別学習支援システム「eboard」を提供する。

 この他、小金井市では、今回の実証でプログラミングやAIを活用したロボティクスの授業・学習を実施する「先端技術(EdTech)活用モデル」についても取り組むという。

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