2018年4月のセキュリティクラスタは「漫画村」「Wizard Bible」「Drupalgeddon2」に話題が集まりました。著作権を侵害するサイトのブロッキングに対し、大きく2つの意見が対立しました。メールマガジンWizard Bibleでは、表現の自由と犯罪につながりかねない情報の公開について、公権力が押し切る形になりました。Drupal CMSの脆弱(ぜいじゃく)性では、リモートからOSのコマンドを操作できることが実証されてしまいました。
他社の漫画やアニメなどを勝手に公開していた「漫画村」。類似Webサイトを含めて注目が集まっています。漫画村などを通じてタダで漫画を閲覧する人が激増し、正当な著作権者に収入が入らず、コンテンツを作っている人たちが困っているという声が高まりました。
2018年4月にはこれらのWebサイトにアクセスできないよう、日本政府がブロッキング(遮断)をISPに求めました。
ブロッキングは憲法で保障された「通信の秘密」を侵害します。このため、これまで児童ポルノに対してだけ、「緊急避難」という名目で行われています。緊急避難が著作権侵害にも適用できるのか、議論の余地があります。
そこでブロッキングを推進している側の@nkawa2525氏、@fukuikensaku氏、@ichiyanakamura氏と、ブロッキングを行うべきでないとする@masanork氏、@tetsutalow氏、@kirik氏らが熱い議論を交わしました。
出版社の売り上げが落ちて日本の産業に大きな影響を及ぼしている緊急事態だからやむなしという意見があります。それとは違う視点として、児童の権利が侵害される明らかな犯罪行為と私企業の著作権は違うのでやるべきでないという意見も噴出しました。しかし、議論で互いに相いれることはなく平行線をたどります。
ブロッキングを推進している側の主張は他に手段がないというもの。しかし、ブロッキングに反対する側は他の手段を提示しています。配信を行っている企業Cloudflareに働きかけて、CDN(Content Delivery Network)を止めさせることや、広告代理店に対してサイトへの広告出稿を停止させるといった手段です。広告配信を止めればよいとの声に応えるように、広告配信を停止すると発表した企業も現れました。
NHKの「クローズアップ現代」が取り上げるなど、漫画村の問題に対してセキュリティクラスタだけでなくたくさんの人が注目していました。ところがブロッキングが行われる前、肝心の漫画村が4月10日ごろから閲覧できなくなりました。当初メンテナンス中との表示がありましたが、サイトを開くこともできなくなり、どうやら本当に閉鎖されてしまったようです。
こうした中、政府は4月13日の閣僚会議で、ISPに対して海賊版サイトへの自主的なブロッキングを促す緊急対策を決定しました。法整備が行われるまでの臨時、緊急の措置として、「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3サイトだけを遮断するようにという要請です。
4月23日にはNTTグループ企業4社がブロッキングを始めると発表。既に3サイトとも閉鎖されていたため、実際にブロッキングが行われたかどうか不明です。NTTの方針についてもたくさんのツイートが飛び交いました。
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