「社内データに関する知識は、かなり重要。データをビジネスにつないで適切に使うためには、どういう背景でそのデータが生まれたかを理解していなければならない」
この人物はデータ可視化ツールにも精通しているという。副社長から「こういう分析はできないのか」と相談されると、翌日にはこの副社長向けのダッシュボードを作って示したり、その場でアレンジして見せたりといったことができ、ビジネスにおける機動的なデータ活用を直接支援しているという。
情報戦略担当チームの存在価値は「経営に資すること」。このため、チーム全体としてデータ分析スキルに加え、業務知識、現場・市場感覚に基づくマーケティングマインドが求められているが、この人物はデータ分析スキル、マーケティングマインドの双方を兼ね備えたいい例だと話した。
川崎氏が紹介した別の人物は、数理統計の専門家で、「データサイエンティスト」という言葉から想起されるイメージに最も近い。だが、同チームにはこのような人が多いわけではないという。先生のような存在で、データエンジニアがこの人物に相談したり、指示を仰いだりして、業務を進めているという。
もう1人は、上級Web解析士の資格を持つWeb解析のエキスパート。動線解析などを行ってきた。2017年からは、SNSのデータから同社のビジネス課題を見出す「ソーシャルリスニング」に力を入れており、社内にこうした手法を浸透させる立役者になっているという。
上記3名は、社内の各種研修を活用している他、社外の異業種交流会や勉強会へ積極的に参加。社外に人脈を広げているという。
「この人たちは好奇心や感受性が強く、多様なジャンルの知識を吸収する意欲がある。データサイエンスはあくまでもツールなので、これを使いながらも学び続ける人材が、われわれのような事業会社では成長すると思う」(川崎氏)
NTTドコモにおいて、データを活用する取り組みは今後ますます増えていくと、川崎氏は説明した。例えば中期計画では、スポーツ体験の革新やFinTech、AIエージェントなどの展開がうたわれている。一方、顧客との接点強化が大きなテーマとなっており、顧客およびサービスのデータ活用は欠かせない。さらに、dポイントやd支払いの加盟店など、パートナーと共にデータを活用する機会も増えていく。こうした動きに伴い、データ活用人材の活躍の場は、大きく広がっていくだろうという。
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