「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ2340の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ2340」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ2340は、Optimized Nested Loop時にソート処理を行わない設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。
SQL Serverのクエリオプティマイザーは2つのデータを結合する際に結合アルゴリズムを選択します。その中でNested Loopという結合アルゴリズムでは、結合データをソートしてから処理すると効率がよくなる場合があります(図1)。ソートが有利になる理由はSequential Readの方がRandom Readよりも効率的であるためです。前もってソートする、またはソートを試みることで効率を改善できる可能性があります。
トレースフラグ2340は、このクエリオプティマイザーの動きを抑制します。ソート処理はCPUリソースを消費する場合があり、クエリ全体の動きとして非効率になることがあります。トレースフラグを有効にすることで、Nested Loop Joinの外部表に対してソートを組み合わせないように動作するようになります。なお、本トレースフラグはSQL Server 2016 SP1以降、クエリ単位ではDISABLE_OPTIMIZED_NESTED_LOOPヒントを使うことで制御します。
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | ○ | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
Nested Loop時にソートを試み、入出力効率を上げる場合、Optimized Nested Loopを呼びます。Optimized Nested Loopが呼ばれる場合のクエリプランを図2に示しました。
Optimized Nested Loopの詳細については以下のMicrosoftのBlogにまとまった記述があります。参考にしてみてはいかがでしょうか。
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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