Googleは、フルマネージドCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)プラットフォーム「Google Cloud Build」を発表した。「GitHub」とCloud Buildの接続による新たな統合エクスペリエンスも提供している。
Googleは2018年7月26日(米国時間)、フルマネージドCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)プラットフォーム「Google Cloud Build」を発表した。加えて、GitHubとの提携拡大により、「GitHub」とCloud Buildの接続による新たな統合エクスペリエンスを提供したことも明らかにした。
Googleは「現在では多くの組織がCI/CDを導入しているが、安全で信頼できるCI/CDインフラの運用と保守には多大なコストがかかり、複雑な作業も必要になる。ベストプラクティスの統合にも時間がかかる」との認識を示す。Cloud Buildは、こうした課題を克服し、組織がソフトウェア作成に集中できるようにすることを目的としている。
Cloud Buildは、「Google Cloud Platform」の高速かつ一貫性のある信頼性の高い環境でビルドを実行できるサービスだ。「Google Cloud Storage」「Google Cloud Source Repositories」や、「GitHub」「Bitbucket」からソースコードをインポートし、仕様に合わせてビルドを実行し、DockerコンテナやJavaアーカイブなどのアーティファクト(成果物)を生成できる。
Cloud Buildは、一連のビルドステップとしてビルドを実行する。各ビルドステップはDockerコンテナで実行される。ビルドステップでは、環境にかかわらず、コンテナから実行可能な全ての処理を実行できる。タスクを実行するには、Cloud Buildが提供するサポート対象のビルドステップを使用するか、独自のビルドステップを作成する。
Cloud Buildの特徴は以下の通り。
ビルド処理は1日当たり120分まで無料で利用できる。このため、ビルドをクラウドに移動するためにコストが発生することはほとんどないという。さらに、フルマネージドサービスであるため、ビルドサーバ管理のオーバーヘッドも発生しない。なお、ビルド処理時間が1日120分を超えた場合の料金は、1分当たり0.0034ドルだ。
ビルドトリガーを設定すると、リポジトリ内でソースコードやタグが変更されるたびに、新しいビルドを自動実行できる。この機能はGitHub、Bitbucket、Google Cloud Source Repositoriesで利用できる。さらにカスタムのビルドステップを使用すれば、テストの実行や、Google Cloud Storageへのアーティファクトのエクスポート、ソフトウェアのリリースプロセスの自動化も可能だ。
ビルドの所有権限はGoogle Cloud Platformプロジェクトのものとなるため、ビルドの作成や表示を許可する開発者や、使用できるソースコード、ビルドアーティファクトの保存先を完全に制御できる。
Cloud Buildは、Dockerコンテナでコマンドを実行してビルドを実行する。その際、公式にサポートされたビルドステップや、独自のツール、「Maven」や「Gradle」などの人気のある公開Dockerリポジトリを使用できる。Dockerコンテナイメージにビルドをパッケージ化できる場合は、ビルドプロセスのステップとしても実行できる。
開発者が使っているIDEや、CI/CDパイプラインとの統合が可能だ。認証設定なしに「Google App Engine」「Google Kubernetes Engine」「Google Compute Engine」でデプロイすることも、任意のDockerランタイムにデプロイすることもできる。
Google Cloud Consoleでビルドログを確認することで、失敗したビルドを素早くデバッグできる。
Google Cloudプロジェクトでは、作成した全てのビルドの監査記録を恒久的に保存し、いつでも表示できる。
GoogleとGitHubは、GitHubの任意のリポジトリで、GitHub開発者のワークフローに直接統合された、Cloud Buildによる高速で便利なCIを実行できるようにした。「GitHub Marketplace」から、Cloud BuildとGitHubの統合機能をセットアップできる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.